ファミコン用バイクゲーム『エキサイトバイク』が生まれた時代背景、バイクが子どもたちの身近にあった80年代の思い出の画像
画像はファミコン用ソフト『エキサイトバイク』(編集部撮影)
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 NintendoSwitchでは「NintendoSwitchオンライン」で、懐かしの名作ファミコンソフトの数々をプレイできる。『イー・アル・カンフー』に『アトランチスの謎』に『スターソルジャー』などなど、ファミコン直撃世代だった人にとってはどれも思い出深いソフトだと思うが、Switchオンラインでプレイ可能な『エキサイトバイク』は、空前のバイクブームまっただ中に発売された「単なるレースゲーム」とは一線を画すゲームだった。

■80年代は「バイクの時代」

ファミコン用ソフト『エキサイトバイク』プレイ画面より

 1984年11月30日に任天堂から発売されたバイクゲーム『エキサイトバイク』は、オフロードバイク競技「モトクロス」を題材にした横スクロールのレースゲーム。当時はモトクロスなんてまったく知らない子どもがほとんどだったと思われるが、80年代は国内でオンロード、オフロード問わずバイクが飛ぶように売れた時代でもある。

ファミコン用ソフト『エキサイトバイク』プレイ画面より

 オンロード競技では「チューニングの第一人者」である吉村“ポップ”秀雄の率いるレーシングチームが一世を風靡し、オフロード競技でも東福寺保雄が全日本モトクロス選手権で毎年のように表彰台に上がるなど、日本人と日系メーカーが輝かしい成績を収めていた。

「全日本選手権」と名のつくレースは、同時に世界最高峰レベルのレースでもあった。

 日本は世界有数の自動二輪車生産大国だ。たとえば1978年12月から79年1月にかけて行われた第1回パリ・ダカールラリーでは、ヤマハのバイク「XT500」が1位と2位に輝いた。コースの総距離約1万km、サハラ砂漠を北から南を突っ切らなければならない過酷なラリーで日本製のバイクが見事に勝ち抜いたのだ。

 80年代の日本で多感な子ども時代を過ごした者は、テレビの画面を突き破りそうな勢いのレーシングバイクに憧れの眼差しを向けた。

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