■硬派でこだわりの強い作風ながら老若男女問わないゲームバランス

『大神 絶景版』プレイ画面より

 この作品は特にゲーム初心者の方、アクションが苦手だという方にオススメで、難易度が高くないということ以上に、アクションを重ねていくうちに「うまくなった気になれる」感がとても強いことが本作の特徴であると思います。

 では、どんなゲームなのか。

 舞台はナカツクニという今の日本列島によく似た世界。そのナカツクニにある美しい桜の木々に囲まれた小さな村・神木村には、古い祠に棲んでいる怪物・ヤマタノオロチを鎮めるために毎年祭りの日に若い娘を生贄に捧げなければいけないという悲しい風習がありました。

 ある年、生贄に選ばれてしまったイザナミという娘に想いを寄せていた剣士・イザナギは、自らが身代わりとなりオロチのもとへと向かうことになりました。

 そしてイザナギは神木村の外れに棲んでいた白狼・白野威(しらぬい)の手助けを借りながらもヤマタノオロチを討伐することに成功しましたが、体を張って戦ってくれた白野威は息も絶え絶えの状態で、イザナギが抱きかかえて村に戻る頃にはもうすでに自分では動くことができないほど弱っていました。

 そんな白野威の頭を村長がひとなですると、白野威は「ワン」と鳴き、そのまま眠るようにこと切れていきました。

 オロチを倒したことで村に平穏が訪れ、その平穏をもたらした白野威の活躍を称えるべく、村人は社を立てて白野威の像を祀り、そしてオロチの棲んでいた祠にはイザナギが討伐の際に使った宝剣「月呼(ツクヨミ)」が供えられ、オロチを封じていました。

 それから100年の月日がたち、イザナギの子孫・スサノオが宝剣を引き抜いてしまったことでヤマタノオロチが復活。そんな折、大神・アマテラスも木精サクヤ姫の力によって神木村に祀られていた白野威像に宿り復活を遂げました。物語はここから始まります。大神・アマテラスは再びヤマタノオロチを討伐し、平和を取り戻すことができるのでしょうか。

 というのがあらすじです。

 ちなみに作中では、水墨画の紙芝居のようにここまでのあらすじが描かれており、その演出だけでも”超エモい”ことこの上なしで、冒頭から世界観にぐいぐい引き込まれることでしょう。作品全体に漂う「日本神話感」と「純和風なファンタジー」がこの作品の持ち味で、世界全体が水墨画のような淡く美しい表現で統一されているのもグッときます。

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