■生き別れの息子と再会した悪徳商人

 そしてペレイラの宿敵であるアントニー・フォン・クーン(41歳)も、実は魅力にあふれたオッサンである。

 オランダの「燃える商魂少女」リル・アーゴットでプレイすると、クーンの内面を観察することができる。リルの幼なじみの男の子カミル・オーフェルアイセルは、クーンのことをよく知っている。今までに積み重ねてきた悪行も、かつては善良で真面目な商人だったことも。それもそのはずで、カミルの本名はマリヌス・クーン。アントニーの実の息子である。

 カミルの母親は、悪の道に走ってしまった夫に耐え切れずカミルを連れてオランダに帰国してしまった過去を持つ。が、現地住民からは残虐非道の商人として知られるアントニーは、今でも離別した家族を想い続けている。息子が「カミル」という、女の子のような名前で活動していることを苦々しく感じているほどに。

 家族3人の肖像画が描かれたロケットは、今でも大切に持っている。自分が道を踏み外してしまったという自覚はあるが、一方でそれはやむをえないことだったと割り切っている。具体的に何があったのか、アントニーは最後まで口にしない。「一からやり直そうよ、父さん」とカミルに呼びかけられても、結局は断ってしまう。なんだかんだで、アントニーは不器用な男なのだ。

 そんなアントニーは、リルとカミルの結婚式にわずかな合間ながら顔を出す。リル編は彼女の好戦的な性格のせいで難易度が高くなっているが、カミルとアントニーの絆をかいま見ることができる良シナリオだ。

■詩集が趣味の39歳

 最後はどのシナリオを選んでも仲間キャラとして迎え入れることができるオッサンを紹介しよう。

 ポルトガル人のマヌエル・アルメイダ(39歳)は船大工。外見はまったくパッとしないオッサンで、キャラゲーにありがちなモテ要素も一切ない。どこからどう見ても、至極普通の中年男。おそらく、このゲームで最も平凡な容姿のキャラはアルメイダではないか。

 が、それを補って余りある「船への愛情」が随所で発揮される。船が好きで好きでたまらない、といった様子だ。そして、アルメイダは仕事をしながら韻を踏んだ詩を思案している。彼の趣味は、詩集を書くこと。39歳にして詩集である。しかもその中身を、仲間の航海士にも披露している。

「海は母に似ている……」

 長年海上にいると、感傷的な性格になるようだ。さっきまで戦っていた敵に対しても、追悼の詩を口ずさむ。

 こういうことは下手な美男子よりも、アルメイダのような「普通のオッサン」が言うべきかもしれない。

 上に挙げた3人以外にも、『大航海時代IV』では様々なオッサンが活躍する。

「これぞ黒幕」という見た目と中身のエスカンテ、女の子の挑発にまんまと乗ってしまうシュパイヤー、受け答え次第で新参の商会にも味方する海賊ハイレディン。どのオッサンも、細かく描写されているのだ!

『大航海時代IV with パワーアップキット HD Version』は、5月20日に発売予定。また同じ日に、大航海時代30周年記念サウンドトラック集を同梱した『大航海時代IV with パワーアップキット HD Version 30周年記念版』も発売される。

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