■疑似的に世界の広がりを感じることができる作り
ライアンが勇者を求めてバトランドを旅立つと、続いては第2章おてんば姫・アリーナの物語がスタート。第2章では通常攻撃役のアリーナと回復役の神官・クリフト、そしてアリーナ姫の教育係である魔法使い・ブライの3人パーティで冒険をします。
操作するのが1人から3人になることで、複数人パーティでの戦闘を自分で操作していくことになり、1章でのライアンではできなかった呪文による攻撃、回復とやれることが大幅に増えます。
プレイヤーが順を追ってRPGのシステムを学べる作りになっているだけでなく、1章で1人旅、2章で3人旅と徐々にできることを増やしていく構成にすることで、疑似的に世界の広がりを感じることができるようになっている点もお見事としか言いようがありません。ちょっとした美しさすら感じます。
そして、本作で個人的に最も好きな第3章武器屋・トルネコの物語へと続きます。トルネコは商人なので魔法は使えないし、強靭な力など持っていない上に、3人旅のあとの1人旅ということもあって、正直戦闘面での楽しみは一切ありません。
その代わり、トルネコの物語にはボスがいません。ボスを倒すことで進行していたこれまでの物語とは違い、人の話を聞いて回って進行条件を探して、お金を集めてクリアを目指す、という特殊なシナリオとなっているのです。
だんだん『ドラクエ4』の魅力に皆さん、気づいてきたのではないでしょうか。
そうなんです。章ごとに飽きさせないよう、それぞれがまったく違う顔を見せてくれているんです。同じような道筋はたどらないようになっているんです。同じ作品の同じRPGというカテゴリの中でオムニバス形式の物語にすると、やはり「早く本筋を遊ばせてくれ」となってしまいますよね。
本作も確かに「早くプロローグの続きを!」となるのですが、それはネガティブな意味合いではなく、最終的に各章のキャラクターたちが一堂に会していくのが楽しみすぎてウズウズするという意味での感情です。こういうワクワクがだんだん大きくなっていく、クレッシェンドしていく構成の丁寧さは本当に素晴らしいなと思います。