初心者がRPGの基礎を学べる、凄すぎるファミコン『ドラゴンクエスト4』の完成度【ヤマグチクエスト・コラム】の画像
画像はファミコン用RPG『ドラゴンクエスト4』(編集部撮影)
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 どうもヤマグチクエストです。1990年の2月11日にファミコン用ソフトとして発売され、31周年を迎えた『ドラゴンクエスト4』。実は同作に関しては昨年も道化師パノンと第3章・トルネコの素晴らしさについて書いたのですが、語りたいことはまだあるのです。それは、“ゲームの構成の素晴らしさ”についてです。

 ドラゴンクエストは1~3が「ロト3部作」と言われており、一つの大きな物語が3で終わっているので本作『ドラクエ4』はいわば、新たな再スタート作品でもあるのです。実際、後の5、6につながる「天空3部作」の1本目ではあったのですが、この新たなスタート作品として『ドラクエ4』は大きなチャレンジに挑みました。それがドラクエのナンバリングシリーズでは唯一無二となるオムニバス方式の物語です。

FC版『ドラゴンクエスト4』オープニング画面より

 そこで今回は、私が愛してやまない本作のオムニバス方式の物語がいかに素晴らしい構成となっているのかについてご紹介させていただこうと思います。ドラクエシリーズの中でも傑作の部類に入ってもよいはずの4ですが、「ドラクエ最高傑作はどれだ!?」という議題になるとあまり名前が上がることがありません。

 たしかに最高傑作と言われると他シリーズ作品に劣ってしまう部分もあるのかもしれませんが、このせいで人気がないように感じてしまうのはファンとしてとても悲しいので、これを機に「4ってたしかに面白いよな」という風潮になってほしいなと切に願っています。

■物語としてもRPGとしても完ぺきな“クレッシェンド”、その始まり

FC版『ドラゴンクエスト4』プレイ画面より

 本作はプロローグ(PS版から)+1~5章(リメイク版では6章が追加)で物語が構成されており、それぞれの章にプレイヤーが操作する”主人公”が異なります。オムニバス方式でストーリーがややこしくなりそうで、上級者向きなきらいもありますがそんなことはありません。むしろその逆。章をクリアするごとにまた別の物語が始まっていき、章を進めるごとに「初心者が1歩1歩ステップを踏んでいけるように作られている」のです。

 ではどんな作りになっているのか。

 まずは第1章、王宮の戦士・ライアンの物語がスタート。さっそく、戦闘などといったRPGの基礎に触れていくことになるのですが、ライアンはいわゆる戦士キャラで魔法が使えません。なので、通常攻撃と回復アイテムのやくそうを使いながら冒険していくことになるので、魔法に頼らない分、装備の重要性に気づきやすいのもポイント。

FC版『ドラゴンクエスト4』プレイ画面より

 装備によって強くなっていくのが実感できるのはRPGの楽しみですよね。また、道中でホイミスライムのホイミンが仲間になりますが、指示を出すことができないNPCなので、プレイヤーが操作できるのは基本ライアンのみです。

 だからこそ、初心者が始める第一歩にふさわしい!

 ホイミンの攻撃はほとんど期待できませんが攻撃役(ライアン)と回復役(ホイミン)と役割が完全に分かれている上に、初めはやくそうでしか回復できなかったライアンがホイミンの加入によってより輝けるようになり「パーティにおける回復役の重要性」や「戦闘中はこのタイミングで回復すると良い」ということを学ぶことができます。

 ライアンのやれることが少ない分、分かりやすい操作感で冒険を進めてRPGに慣れることができるというのもポイントです。

 終盤には「はじゃのつるぎ」という、使うとギラの効果が出るアイテムを入手でき、特殊効果のあるアイテムの存在も用意してくれているあたり、制作陣もライアンの章でドラクエの基礎を学んでくださいと配慮しているように感じます。

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