■打ち切り後の討論が『ジョジョ』へのヒントに
マンガ家と打ち切りの可能性は切っても切れない関係だが、このほかにも、その後の大ヒットに続くきっかけとなった打ち切りマンガは多くある。
『ジョジョの奇妙な冒険』の荒木飛呂彦氏も、『ジョジョ』連載前に打ち切り作品を抱えている。それが、1983年の『魔少年ビーティー』。悪行を繰り返す主人公は当時の『ジャンプ』では異色の存在だったが、連載は10回であえなく終了となった。
しかし同作については荒木氏が2015年の新書『荒木飛呂彦の漫画術』(集英社)で打ち切りの裏話を披露。当初は短編として発表し、2年かけて連載にこぎつけたという『魔少年ビーティー』だが、連載3回目のアンケート結果を見て「これは続けられない」と編集側と話し合いが行われたとか。だが、連載打ち切りが決定した後に掲載された最終話のアンケートが思わぬ高評価で、連載は読者に惜しまれる形で終了。ラストの敵となった「そばかすの不気味少年」との頭脳戦や、「友情のために戦う」という少年漫画の王道が描かれていたことが好評だったと、担当編集者と討論で光明を見出し、これをきっかけに仙台から上京することになったと語っている。
現在『ジョジョの奇妙な冒険』は第8部となる『ジョジョリオン』が『ウルトラジャンプ』で連載中。『ビーティー』最終話がなければ、今のシリーズもなかったのかもしれない。