■何年たっても愛される河津節!

ずっと聞いていたいほどかっこいいボス戦BGM

 ロマサガは随所にこだわりが見える点も愛される理由の一つで、特に伊藤賢治さんによるBGMがかっこいいんです。ベタですがラスボス戦は本当に心が熱くなります。このBGMを聞きたいがためだけにプレイしていた時期もありました。

 そして、本作を語る上でかかせないのがそのセリフ回しです。8人の主人公それぞれの受け答えにも個性があり、また、選択肢も「はい・いいえ」というようなものではなく、そのときの会話の流れに沿った選択肢が出ます。例を挙げるとキリがありませんが、この記事のタイトルにも入っている「殺してでも奪い取る」はとある会話での選択肢の1つです。超有名なネタでもあります。

 この選択肢は、本作の最強クラスの武器・アイスソードを入手したと喜んでいる男との会話で出てくるもので当時臆病な私は「このゲームのことだからこれ選んだら本当に殺しかねないな……」と思い、選ぶことができませんでした。

ガラハドさん…

 後に知ったのですが、この選択肢を選ぶと今も語り継がれるあのセリフとともにアイスソードを手に入れることができるようです。気になる方はぜひご自身の目でお確かめください。

 シナリオも河津さんがほとんど1人で手掛けているため、こういったユニークな選択肢は「河津節」と言われファンに愛されています。仲間の命をもらうぞ!という強迫に対し、「はい!どうぞ!!」と言ってみたり、金をおいてけと言われて「はい おいていきます」とすごすごと逃げたり、信頼できる戦士がいないと嘆く女戦士・シフに対し「てめえが強すぎるんだよ大女」と言ってみたりなど、本当に個性豊かな選択肢、セリフ回しが随所に散りばめられており、人々との会話が楽しいRPGに仕上がっています。

 単純にフラグ回収のためだけに話しかける、という作業的な意味合いの会話も多い中での、こうした遊び心はプレイヤーからしても嬉しいですよね。

 と、唯一無二な世界観とシステムでちょっと近寄りがたい雰囲気すらあるロマサガですが、やってみればきっとイメージが変わるかもしれません。どんなに好きな人でも正直、初代をやってみてほしい!と言っている人はあまりいません。ここまで挙げたようにとても人を選ぶゲームデザインなので……。

 しかし、それでも今もなお「サガシリーズ最高傑作はロマサガ1だ!」と強く推す人もいるほど、熱烈に支持される魅力を持った作品であることに間違いはありません。ネットなどの評判で敬遠されている方も多いかもしれませんが、ぜひプレイしてその魅力を感じてもらいたいと強く思います。

 ですが、何度でも言います。ロマサガ始めるなら絶対に3から始めてください!! ロマサガ1は超上級者向けです。初見で詰まずにクリアできたら、あなたはきっと超能力者か何かです。

 もしあなたの身の回りに、何も知らず「なんか聞いたことあるし、このゲームやってみようかな」とロマサガ1を手にとった友人がいたら、殺してでも奪い取ってあげましょう。それが優しさなのかもしれません。

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