大まかな世界観と、舞台上で起こるいくつかの出来事が決められているのみで、出演者のキャラクターもセリフも、すべてアドリブで紡がれていく舞台劇『AD-LIVE(アドリブ)』が今年も開催! 今年の注目ポイントは何と言っても、初めて声優以外が入ったキャスティング。舞台で活躍する俳優陣が参加し、メインキャスト3人で“痛快群像劇!”を繰り広げるのだとか。 より可能性も広がった今年の『AD-LIVE』について、本コンテンツの生みの親であり、総合プロデューサーを務める鈴村健一に語ってもらった。(全3回)
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ほぼ1年中動き続けている『AD-LIVE』プロジェクト
――今年の『AD-LIVE』のテーマは“痛快群像劇!”ですね。群像劇となると、全体のストーリーと個々人のストーリーが描かれるわけですから、難易度がかなり上がるかと思います。なぜこの挑戦をされたのでしょうか。
複数人でやりたいというのはずっと思っていたんです。そもそも『AD-LIVE』という名前になる前に、3人劇をやったことがあったんですね。そしてもうすぐ15周年を迎えるに当たって「やり残していることはないか」と考えたとき、あれをもう一度やりたいなと思ったのが、群像劇にした理由のひとつです。
もうひとつの理由として、今回は仕組みから作っていったんです。対立構造にするとドラマにコンフリクト(意見・感情・利害の衝突)が生まれて面白くなるので、1対1でやるときはそうなるように作ってあるんですが、同じ目的のために共闘したらどうなるんだろうと以前から思い描いていまして。そうなるような仕組みとして最初に出したアイデアが、2対2のチームバトルだったんです。でも4人でやるのはスケジュールが……(笑)。
――調整される方のご負担があまりにも重くなりそうです(笑)。
じゃあ3人でやってみようということで、まずは2対1という構造で検証していきまして。その中で今回の「テレビ局」という設定が生まれ、「生放送を成立させる」という共通の目的はあるけど、それぞれの思惑の違いもある、という形になればちゃんと群像劇になるだろうということが見えてきて、この形になりました。
――最初の2対2という形も、ぜひ拝見してみたいです。絶対面白いと思います!
そうですよね、いつかやりたいですね。
――“検証”というのはどのように行われるのでしょうか。会議で話し合って?
いや、実際に舞台をやるんですよね。いつも本番を手伝ってくれている彩-LIVE(いろどりぶ。劇中にスポットで登場するゲストキャスト)メンバーの皆さんや、演出の川尻(恵太)さんの繋がりで来ていただける舞台俳優さんに参加していただいて、セットも簡易的なものですが用意して、ほぼ本番と同じ想定で実際に演じてみるんです。今回は……7、8回くらいやったのかな? 前回の『AD-LIVE』が終わったのが10月で、11月にはもうプランニングして、12月には検証を始めてましたから、『AD-LIVE』ってほぼ1年を通してずっと動いてるんですよ。「終わると次」どころか、終わる前に次のことを考え出してるくらいです(笑)。