現在、三部作の第二幕「月ノ巻」の公開を7月8日に控えている「特『刀剣乱舞-花丸-』~雪月華~」。本作のプロデューサーを務めた礒部慧利氏は、テレビシリーズ1期・2期の音楽プロデューサーも務めており、あの「エンディング曲を週替わりで放送(しかもオリジナル楽曲で!)」という挑戦を成し遂げた人物。それだけに「花丸」への思い入れはひとしおだ。
その礒部氏インタビューの第2回では、アフレコ&レコーディングの様子や、音楽・映像へのこだわりなど、プロフェッショナルな現場が垣間見えるお話を伺った。(全3回)
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面白いエピソードが起きないくらい、プロフェッショナルな声優陣
――アフレコでのキャストの方々は、どんなご様子でしたか。
この三部作から新しく「花丸」に参加された方々は、ゲームでやってきたお芝居と「花丸」でのお芝居の違いの調節を丁寧にされていた印象があります。ゲームのセリフがそのまま使われている場合でも、シチュエーションが違っていたり掛け合いがあったりと、ゲームでのお芝居とは異なる部分があるので。でもキャストさんは打てば響くという感じで、すぐに調整して対応してくださいました。やはりキャストの皆さんは、メディアが違うということの意味をよくご存知で、何なら私たちよりも深くわかっていらっしゃるので、アフレコでものすごく困るようなことはありませんでしたね。
――礒部プロデューサーは、本作の音楽プロデューサーも兼務されていらっしゃいますが、歌の収録はいかがでしたか。
よく取材で訊かれますが、特に面白いエピソードってないんです(笑)。皆さんプロなので、準備も素晴らしいですし。相談があることもありますが、たいていは事前に「これだとキーが合わなくてキャラを出せないから、下げてほしい」と言われたりするくらい。だから録音のときに演出面で喧々諤々するということはないんです。
――さすがですね!
でもキャラクターソングというものは、どの現場もそうだと思います。声優の皆さんはやはり、プロフェッショナルだなと思いますね。
――ところで無印(1期)、続(2期)もそうでしたが、今回の三部作もそれぞれオープニングが本当にかわいくて楽しくて、どれもつい口ずさんでしまう素敵な曲ばかりですね。
本当に「花丸」っぽい曲ばかりですよね。私は、オープニング曲をずっと担当してくださってる睦月周平さんに絶大な信頼を置いていまして、「オープニングはこの人以外考えられない」というくらい。睦月さんはこちらのオーダーを100%理解して、さらに上乗せして返してくれるところがあって、“「花丸」というものを音楽的に解釈するとこうなる”という答えを毎回出してくれるんです。
無印(1期)でも「花丸◎日和!」という名曲を作ってくれましたが、続(2期)のときは「『続』なのでパワーアップしてください」と無理難題を言ったら「花丸印の日のもとで」を出してくれて。さらに今回も「久しぶりだから『花丸』感をしっかり出しつつも、懐かしい感じもほしいです」とお伝えしたら、それに120%応えてくださる。本当に優秀な音楽チームです。