詩人たちが生んだ、厳しくも優しき言の葉

 

青の光が瞬く中で、雨や水滴の音が混じり合い、切なさを煽る宮沢賢治『雨ニモマケズ』から、八木重吉の『秋の瞳』に。硝子のように繊細で、それでいて優しい言の葉を神尾と間宮が混声で歌い、退廃的な空気から一転日だまりの温もりを軽やかに生み出していく。生前決して名声に恵まれたわけではなく、若くして病に倒れた宮沢賢治、八木重吉の二人の詩人。彼らも自らの歌が、一世紀近くを経て、このような優しい朗らかさで諳んじられるとは思わなかったであろう。

 

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