古見さんは、息音の一つひとつが非常にデリケート

 

――主演のお二人、古賀葵さんと梶原岳人さんの声優としての魅力をお教えください。まず、古見さん役の古賀さんは、セリフが決して多くない作品の中で、抜群の表現力を見せてくださっていますよね。


「古賀さんでなければ古見さんは成立しなかった、というくらい、古賀さんの多大な努力と綿密なアプローチによって、古見さんは成立していると思います。絶世の美少女でありながら、実はコミュ症、ほぼ言葉を発することがないというキャラなので、ただ美しい声を持つというだけでなく、その息音の一つひとつが非常にデリケートな性質を持たなければいけないんです。古賀さんは、その『息音一つ』に対してすごく考え、悩まれながら繊細に演じてくださったと思います。その“悩み”や“考えながら言葉を発する”ということ自体が、古見さんの声そのものに反映されて、良いものになったのではないかと感じます」

 

――古賀さんにお話をお聞きしていると、すごくシンクロして演じられたのがわかりました。


「そうだと思います。逆に、杓子定規的な割り切ったアプローチだと、幅がなく単調になってしまいかねない。だからこそ、真面目な古賀さんの人柄とその魅力が、古見さんの魅力に直結したと思っています。また、古見さんが時折発する数少ないセリフ。これは、少ない分確実に破壊力がほしいポイントでした。毎回手に汗握って、アフレコ現場に臨んでいたのですが、僕らの想像の遥か上をいく美しさで、もう頭が下がるばかりでした。

琴線に触れる絶妙な声の高さと声の震え、混じる息音など、様々な要素をたった一つのワードに込められなければいけないシチュエーションも多かったと思うのですが、見事に表現していただけたことが、本当に嬉しかったです」

 

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