コメディであっても、ふと胸に刺さるシーンが多い『古見さんは、コミュ症です。』。老若男女を魅了する、この青春ドラマの魅力はどんなところなのでしょうか。川越一生監督にインタビューを試み、そのキャラクターを体現する声優陣のプロフェッショナルな一面に迫りました(全3回)。
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コメディアニメはテンポや掛け合いの妙が大事
――1期、2期問わず、キャスティングはどのように進んでいかれたのでしょうか。
「キャスティングはすんなり、意見が割れることなく進んだ印象があります。いい意味で尖ったキャラが多いので、そのキャラのイメージに最も近い声の人、お芝居をする方に、という考え方をスタッフ皆が共有できていた気がします」
――一つの役に対して、いいと思える声優さんが複数人いて、悩んだときにどうしていますか。
「あくまで個人的になのですが、そうなったらもう声優さん本人のビジュアルや雰囲気がキャラに近い人を選ぶようにしています」
――アフレコ現場での印象的なエピソードをお教えください。
「収録はコロナ禍というのもあり、録り切るのが大変でした。1グループ3~4人でブースに入ってシーンを録っていく方式だったので、掛け合いを、いわば想像でやるしかない部分もありました。ギャグの多いコメディアニメはテンポや掛け合いの妙が非常に大事なため、アフレコが始まる前、とにかくそこがちゃんと達成されるのかがすごく不安だったことを記憶しています」
――なるほど。その不安はアフレコで払拭されましたか。
「声優の皆さんが本当にキャラに寄り添って、全力でこちらの要求以上のお芝居してくださったので、不安は杞憂でした。本当にみなさんには感謝してもしきれないほどの良い声の数々をいただけたと思います。とくに『古見さん。』は登場キャラがすごく多いので、音響制作の浦狩裕樹さんもスケジュールを組むのが、大変だったかと…。とにかく、そういった困難の中でも楽しい声に溢れた作品になったのは、ひとえに声優さんをはじめとした、音響スタッフの皆さんの努力の賜物だと感じています」