ピアノが中心にある作品らしく、ピアノと歌が絡み合う主題歌に

 

――今回の主題歌を歌うアーティストの選考には、非常に大規模なオーディションが開催されました。1400名の中から、当時14歳だった新人のHinanoさんが選ばれたわけですが、彼女のどんなところが魅力的だと思われましたか?

 

私だけではなく、彼女をこれから世に出して行く人たちみんなで選んだオーディションでしたが、ほぼ満場一致だったのではないでしょうか。もちろん素晴らしい歌い手さんがたくさんいらしたので、選考は簡単ではありませんでしたが、Hinanoさんはまず声の感じが『DEEMO』という作品に合ってるなと思いました。とてもふくよかで優しい、包み込むような声ですよね。それから、お若いのに歌唱力も表現力も、びっくりするほど素晴らしい。歌に対する気持ちがとても強いですし、色々な曲に触れてきた経験値も高くて、レコーディングは新人さんとは思えないスムーズさでした。さらに彼女は、自分の体の隅々まで気を配ることができる。あの年齢ではなかなかできないことですから、本当に完成度の高い歌い手さんですし、これからが楽しみな方だと思います。

 

――梶浦さんが『nocturne』に込めた想いや、制作される上でこだわられた部分というのは、どのようなところでしょうか。

 

「DEEMO」はピアノが中心にあるゲームですから、主題歌と言いながらも、この曲の主役の半分はピアノなんです。ですから、歌とピアノがくっついては離れ、くっついては離れて、ずっと絡み合いながら最後までいくような曲にしたいなと考えました。また劇中で何度も主題歌のメロディを弾くというお話でしたから、それを前提にして作っていったところもありますね。“ピアノだけで弾けるメロディでもある”ということが、物語上必要とされたので。

 

――優しくもどこか切ない、本当に素敵なメロディですね。劇中で何度も登場する最初の5音が、とても耳に残っています。

 

そうですね。あまりテクニカルな曲じゃないほうが作品の最後を飾るのに合うだろうというのもあって、全体をとてもシンプルなメロディにしました。それから『DEEMO』の世界は闇の中から始まります。ということは、その闇の世界から旅立つ曲でもあり、忘れがたい優しい思い出の象徴でもある。またあの世界に暮らすキャラクターたちにとっては、闇の世界といいながらも非常に温かいところかもしれませんよね。

きっと私たちもみんな、思い出というものに対してそういう気持ちを持ちながら生きていると思うんです。そこから離れて旅立っていきたいという気持ちと、もうちょっと思い出の中に浸っていたいという気持ち。旅立ちは華やかで輝かしいものであってほしいけど、もの悲しいものでもある。そんな風に相反する色々な気持ちを入れたいなと考えながら作った曲ですね。

 

第2回は明日公開予定。お楽しみに!

 

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PROFILE
梶浦由記
作詞・作曲・編曲を手掛けるマルチ音楽コンポーザー。1993年にSee-Sawのコンポーザー兼キーボディストとしてプロデビュー。
現在は劇伴音楽を数多く手掛け、『鬼滅の刃』『ソードアート・オンライン』シリーズなどの話題作やアニメ作品以外にも、映画『アキレスと亀』(08/北野武監督)やNHK連続テレビ小説『花子とアン』(14)も担当している。
またアーティスト活動として、2003年より個人プロジェクトFictionJunctionをスタート。精力的にリリースやライブも世界規模で開催している。

 

<作品情報>

 

 

劇場版『DEEMO サクラノオト -あなたの奏でた音が、今も響く-
2022年2月25日(金) 全国ロードショー

 

【STORY】

音楽によって解き明かされていく過去と、この世界の秘密―――

ピアノが鳴り響く音楽学校。聴く者全てを惹きつける見事な旋律を奏でるのは少し影のある少女、アリスだ。人と交わろうとしない彼女だが、好奇心の強いサニア、優しいロザリアと出会い、徐々に変化が訪れる。
空から一人の幼い女の子が落ちてくる。記憶を失くしていたが、黒の紳士がDeemo ということはなぜか知っていた。Deemo がつま弾くピアノの旋律に誘われるように、少女は「アリス」という自分の名前を思い出す。そこには、彼女を優しく見守るぬいぐるみのミライ、くるみ割り人形、フワフワと宙に浮く匂い袋がいた。
ピアノの音色で成長する木が天窓まで届けば元の世界に帰ることができるのではと考えたアリスたちは、城に隠された楽譜集めを始める。そこでアリスは表情を隠した仮面の少女と出会う。「あなたなんて、嫌い」と言う仮面の少女とアリスの関係は?
仲間たちとの楽譜集めの冒険。仮面の少女の心。そしてDeemo という存在の謎。時にアリスの頭をよぎる桜並木。

途中で止まる記憶の旋律――

過去・現在・未来に大きな波紋を広げる音色が、次第にアリスの記憶の扉を開いていく。

 

【CAST】

竹達彩奈 丹生明里(日向坂46) / 鬼頭明里 佐倉綾音

濱田 岳 渡辺直美 イッセー尾形 松下洸平 / 山寺宏一

 

【STAFF】

原作:Rayark Inc.「DEEMO」

総監督:藤咲淳一

監督:松下周平

副監督:平峯義大

脚本:藤咲淳一、藤沢文翁

主題歌制作:梶浦由記

主題歌:Hinano「nocturne」(PONY CANYON)

製作・配給:ポニーキャニオン

 

【公式サイト】deemomovie.jp

【公式Twitter】@DeemoMovie

 

(C)Rayark Inc./「DEEMO THE MOVIE」製作委員会

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