夕暮れから夜へ、そして夜明けへと移りゆく時間を描く
軽やかな『ソラニ×メロディ』(寺島)、寺島&森久保もマフラータオルを回して盛り上げた『The whole world』(鈴村)と楽しいナンバーが続いた後は、小野が歌う心地よいミディアムテンポのナンバー『Dancin' Groovers』。徐々に照明が、夕暮れから夜を思わせる色合いに移り変わっていく。
続く森久保は『哀れDESIRE』を歌いながら、芝居っ気たっぷりな千鳥足でラウンジからVIPへ、そしてステージへ。ステージのスクリーンには摩天楼の夜景が映り、都会の不埒な夜といった風情だ。そのまま森久保はハードな『gravIty』を披露。
刺激的な都会の夜の後は、『Lunar Maria』(小野)の静寂に満ちた神秘的な夜へ。そして切ないアウトロを背にした小野が次に佇んだのは、朱の色に染まったスモークの中。小野の抒情的な低音を味わえる『暁の轍』だ。移りゆく時間を美しく描くセットリストの妙が、観客の心を震わせる。
歌が終わると森久保が現れ、小野×森久保によるトークコーナーに。
森久保「皆さんに一応お断りしておきますけど、生放送でお届けしてますから。『カメラを止めるな』方式、全部一筆書きでやっております」
小野「『おれパラを止めるな』、おれ止めですね(笑)。収録なんじゃないかと思う人がいるかもしれませんが、本当にライブでお届けしてます。ずっと息つく暇もないけど、ずっと楽しい!」
森久保「『旅に行きたいね』って話から、今回のキーワードが“TERMINAL”になって。皆さんも旅に行けてないと思うので、少しでも体感してくれたらと思います」
小野「いろんな旅が、いろんな場所が、皆さんを待っております。この後も引き続きお楽しみください!」
なかなか旅立とうとしない森久保へ3人がツッコミ!
画面に映し出されたのは、真っ白なテラスに佇む寺島の姿。切なく歌い出したのは、昨日も披露した『Reincarnate』だ。ミラーボールの小さな光が舞い散る雪のようにも見え、同じ曲のはずなのにまったく違う歌のように感じられる。そしてメインステージでは、厚手のコートを羽織った森久保の『Home sweet home』。荒野の風と土の匂いを鼻先に感じられそうな、タフな歌だ。
歌い終えた森久保が前へと歩みを進めると、その先に待っていたのは小野、鈴村、寺島の3人。限りなく優しいバラード『また会える』が始まり、鈴村のリードボーカルと3人のコーラスからなるハーモニーが美しく、胸に沁みる。
4人がそろった2度目のトークでは、さっそく森久保に「旅、出てないですよね」「『Home Sweet home』で家に帰りましたよね」と、3人が口々にツッコミ。楽屋で3人が『また会える』のコーラスを練習していたという裏話も明かされた。
次から次へとステージを塗り替える4人の個性
4人全員が楽しさと手応えを感じていることが伝わってくるトークの後は、やんちゃなロックナンバー『a blank map』(寺島)。さらに鈴村が「さあ、クラップしようぜ!」と誘うと、ステージで小野・森久保・寺島がハンドクラップ! おもちゃ箱のようにチャーミングで楽しい『あいうえおんがく』で盛り上がる。
曲が終わると、スタジオの雰囲気は一変。マイクとボウモア(スコッチ・ウイスキー)の瓶を手にし、滑走路を不敵に闊歩する森久保が歌う『World Line』だ。ステージに辿り着くと、ロックの王道なパフォーマンスで観客を圧倒する。そんなワイルドさを一瞬で塗り替えたのは、美麗なストリングスのイントロ。鈴村の艶やかな歌声が、『くものいと』のめくるめく耽美な世界へと観客をさらっていく。
ディープな空気に酔わされたのも束の間。『ファントムライツ』の端正なイントロと軽やかな寺島の声が、濃厚な匂いを爽やかに一掃する。それでいて歌の合間では、色気の滲む流し目で観客を魅了。まるで万華鏡のように目まぐるしく変わり続け、どれひとつ似通ったステージなどない。このホストメンバーのカラーの違いが、おれパラの大きな魅力のひとつなのだと再確認させられた。
その後の鈴村×寺島のトークでも、4人の音楽観の違い、そしてその違いが生み出す面白さについて話が弾んだ。
鈴村「おれパラの面白いところって、この4人がホストということ。それぞれがジャンルレスにやってるから、(4人の楽曲をシャッフルした)セットリストを組もうといったとき、持ち寄れるんだよね」
寺島「『この流れなら、僕はこの曲を出してみようかな』『繋がり、いいな~!』って(笑)。これに去年気付けたことは、革命的でしたよね」
鈴村「今回小野Dが宣言してたんですよ。『世の中に配信ライブがいっぱいあるけど、その決定版を作りたいんだ』って。代替案としての配信じゃなく、今までとは違うものを新しく作った感じがするね」