監督のオーダーにアニメーターがまさかの返球

 

トークはキャラクターの誕生秘話へ。本作のメインとなるのは、ロウマ、トト、ドロップという15歳の男子3人。彼らのキャラクターは企画の初期段階から既にあり、いしづか監督のラフを元に肉付けされていった。

 

「ただ初期のドロップは、やんちゃで元気で、今とはまったく違うキャラクターだったんですね。今のドロップは、表面はそういう男の子だけど、その裏側に背負っているものがある。だから吉松さんには、私のラフからガラッと雰囲気を変えていただきました」(いしづか監督)

 

左から、ロウマ、ドロップ、トト

内気な性格のロウマ、ツッコミ役のトト、天真爛漫なドロップ。3人の中で誰が印象に残ったかを尋ねられた村松が「私は……ロウマですね。彼の繊細な不器用さがいとおしい」と答えると、いしづか監督が「ロウマ票、初めていただきました!」と快哉。スタッフ間ではトト、観客からはドロップの人気が高く、ずっと「ロウマ、がんばれ!」とエールを送っていたのだそう。

 

さらにロウマの推しポイントとして監督が挙げたのは、「終盤であんなにこだわりのない短髪になったのにイケメンに見える」ところ。アニメーターに「このロウマ、髪型おしゃれじゃないけどイケメンでお願いします!」と伝えたら、上がってきたラフのおでこに“イケメン”と書かれていた……という現場のクスっと笑えるエピソードも明かしてくれた。

 

重低音にこだわって実現させた“地響き感”

 

続いては松村が「映像に音がついて、ご自身の想像を超えたと思われたシーンはありましたか?」と質問。これには吉松もいしづか監督も、終盤で描かれるアイスランドの雄大な滝の音を挙げた。

 

「やっぱりスクリーンで観ると、滝の音などの効果音がズーンと来るので、絵の説得力が増すというか。音に助けられるというところが、アニメーションにはすごくありますね」(吉松)

 

吉松孝博(キャラクターデザイン)

「スクリーンで観たときの“地響き感”は格別ですよね。滝のシーンではちゃんと劇場内で地響きがしてほしかったので、この作品はすごく重低音に力を入れているんです。重低音を響かせるために重い音がたくさん入っているので、音響の現場やスクリーンで観たときは、『このビリビリする感じ! これこれ!』と嬉しかったですね」(いしづか監督)

 

そしてイベントの最後には、作品に隠されたちょっとしたサプライズも明かされた。

 

「この映画は、一度観ただけで終わってほしくないなという気持ちも込めて、『ちょっとここがわからなかったな、気になるな』という絶妙なポイントを残しているつもりなんです。さらに『宇宙よりも遠い場所』エッセンスも隠されていますので、具体的にどこに何があるかは言えませんが、ぜひ2回目も楽しんでいただければなと思います。ただしひっかけもあるので、お気をつけください(笑)」(いしづか監督)

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