■炭治郎に負けない優しさの持ち主
※以下、テレビアニメにもなっている「那田蜘蛛山編」までの一部ネタバレが含まれているので気になる方はご注意ください。
善逸は、過去に何度も女性に騙されてきた無類のお人好しだが、炭治郎に負けないくらい心優しい面を持っている。
その一端は、鬼殺隊の最終選別のあと、炭治郎と善逸が偶然出会ったエピソード(単行本3巻)でも描かれている。鬼殺隊の隊士でありながら炭治郎が“鬼(禰豆子)”の入った箱を背負っていることに、善逸は最初の段階から“気づいて”いた。
なのに善逸は鬼のことにまったく触れず、炭治郎にも追及しなかった。この時点では、箱の中身が美少女の禰豆子ということは知らなかったにもかかわらず……である。
それどころか善逸は、鬼の存在を察知して攻撃をしかけた嘴平伊之助から身を挺して箱を守ろうとする。その理由は炭治郎が「命より大事なもの」とこぼした、ほんのささいなひと言だった。
「炭治郎には必ず事情があるはず」「それは俺が納得できる事情だって信じてる」と、まだつきあいの浅い炭治郎を無条件で信じた善逸。
いくら善逸に“音”で相手の考えをある程度察する力があったにせよ、それだけで鬼を連れた炭治郎のことを信じ抜いたところに我妻善逸という人物の好ましい人柄がうかがえる。