■いまや超有名なのにいまも”隠れた名作”と呼ばれる『ライブ・ア・ライブ』

『ライブ・ア・ライブ』主人公選択画面より。現代編のキャラデザは皆川亮二先生

 続いてご紹介するのは、私が勝手に「日本一有名なマイナーゲーム」だと思っている『ライブ・ア・ライブ』(1994年9月発売/エニックス)です。

「日本一有名なマイナーゲームて!矛盾しとるがなキミ!」と怒られてしまいそうですが、面白いマイナーゲームと言えば、という質問があればおそらくイの一番に名前が挙がるであろうタイトルだと思います。

 それだけ面白いのになぜマイナーなのかと言いますと、実は発売した時期がかの名作『ファイナルファンタジーVI』(1994年4月発売)と『クロノ・トリガー』(1995年3月発売)の間ということなどもあり、陰に埋もれてしまいメガヒットとはならなかったのです。

 しかし、7人の主人公から任意で選択してそれぞれの物語を楽しめることができるオムニバス方式のゲームデザインを採用。その各章のキャラクターデザインを複数の人気漫画家たちが務めるなど、ゲーム自体の作り込みは非常に丁寧かつ力が入りまくっており、陰に埋もれさせておくにはもったいないほどの名作であることに疑いの余地はありません。

 そうした背景もあり、ネットなどで「ライブ・ア・ライブは面白いんだあ~!!」というプレイヤーたちの声が口コミ的に広がっていき、発売当時の売り上げ以上に現在は人気作という扱いを受けている印象もあります。

各章でまったく違った世界観が味わえるのが最大の魅力

 では、どんな作品なのか。先ほど書いたように、7人の主人公から選んで物語を進めていく形式となっており、それぞれが独立した物語となっています。ちなみにキャラクターデザインは、原始編が「おぼっちゃまくん」でおなじみの小林よしのり先生、幕末編を「名探偵コナン」の作者であるご存じ青山剛昌先生、さらに近未来編は「アオイホノオ」などでも有名な島本和彦先生、功夫編を『拳児』の藤原芳秀先生、西武編を石渡治先生、現代編を皆川亮二先生、SF編を田村由美先生が手がけるという、超豪華布陣となっております。

 キャラクターデザインを異なる漫画家が手掛けていることからも分かる通り、このゲームのすごいところはこの7つの物語がそれぞれまったく異なる世界観であるだけでなく、なんと遊び方までも違うという点です。

 たとえば、孤児院で暮らす超能力少年・田所晃が突如起こった行方不明事件を追う物語「近未来編」は、シナリオを進めながら敵を倒していくいわゆるオーソドックスなRPGとして楽しめるのに対し、世界最強の格闘家を目指す主人公・高原日勝の物語である「現代編」はマップすらなく、ボスバトルを重ねながら必殺技を覚えていくだけという作りになっています。『ストリートファイターII』でも作曲を手掛けた下村陽子さんが楽曲を作ったこともあり、現代編の雰囲気がほぼストIIなところも面白いです。

 セリフが一切なく、キャラクターの感情表現を示す顔文字などで物語を把握しなければいけない原始編は、中断してから時間をおいてプレイしなおしたときに物語を忘れてしまいそうになるので一気にクリアすることをオススメします。

原始編より

 また、それぞれのシナリオごとにやり込み要素もあり、そうした遊びごたえという点でも申し分ありません。たとえば、青山剛昌先生がデザインを手掛けた若き忍び・おぼろ丸が主人公の「幕末編」では道中の敵に見つからないように隠れ蓑を使いながら城に侵入していくのですが、このとき誰も倒さずに隠れてクリアするとある特別な武器が手に入ったりします。他の時代でもそうしたやり込みを見つけてみるというのも面白いですよ。

 さて、そんな7つの時代の物語をすべてクリアすると、「中世編」という新たな物語が追加されます。このストーリーこそがライブ・ア・ライブファンを虜にした根源であり、このストーリーのために7つの時代を遊ばせたといっても過言ではありません。

中世編より

 本作をプレイすればきっと、最初の7つのRPG(一部対戦格闘ゲームあり)を遊べるというだけでも面白いのに、そのあとにこんなストーリーを隠しているとは……!恐るべし、ライブ・ア・ライブ……、となることでしょう。

 これだけ濃厚なRPGをプレイさせておきながら、ラストにそんな展開を用意してくるか……!やるな!と感嘆してしまう、いつまでも心に残るRPG史上でも屈指のラストはぜひ皆さんの目でお確かめください。

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