「ヘラクレスの栄光3」に「ライブ・ア・ライブ」!『スーパーファミコン』30周年に振り返りたい超名作RPG【ヤマグチクエスト・コラム】の画像
画像は(上段)『ヘラクレスの栄光3』(下段左から)『ミスティック・アーク』『ライブ・ア・ライブ』
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 お笑い芸人のヤマグチクエストです。本日11月21日は、スーパーファミコン30周年記念日です。平成の時代を生きたゲーマーであれば誰しもが遊んだであろう、時代を代表する名ハード・スーファミ。今回はそんなスーファミのRPGについて振り返っていきたいなと思います。

 みなさんは、スーファミRPGといえば何をイメージするでしょうか? やはりドラクエ、FF、そしてクロノ・トリガーといった名作の名前が挙がるでしょう。MOTHER2やスーパーマリオRPGなども面白かったですし、とても人気がある作品ですね。しかし、スーファミの歴史の中で国民的人気を得るには至らなかったものの、間違いなくおもしろかったRPGも数多くあるのです。

 ということで今回は、そんな超有名人気作品の陰に隠れた名作RPGを3本ご紹介させていただきます。

■何年後かに思い出してまたやりたくなる独特な世界観

『ミスティック・アーク』タイトル画面より

 まず1本目は『ミスティック・アーク』です。

 1995年7月にエニックスから発売された、謎解き要素が随所に散りばめられたアドベンチャー要素も強いRPGで、ドラクエなどを主にプレイしていた当時の私にとってその斬新かつ独特な世界はとても魅力的に映りました。

 さまざまな世界で謎のカードのような物体が人々をフィギュアに変え、謎の神殿に連れ去っていくという奇妙な事件が起きていました。主人公もその物体によりフィギュアにされ、神殿に連れ去られてしまうところから物語は始まります。

 他のフィギュアとともに並べられる主人公に、何者かが呼びかけます。

「勇気を出してたちあがるのです!」

 この声に反応した主人公のフィギュアが前後に動き、そして倒れると、元の姿を取り戻しました。声の主によると、フィギュアから人の姿に戻ることができたのは主人公が初めてとのことで、どうやら自分が選ばれしものであることがうかがえます。

 そしてその声の主は元の世界に戻るために扉を探しなさい、と主人公に告げます。こうして主人公は導かれるがままに、元の世界に戻るために「アーク」を集める旅にでることになるのでした。

 これが本作の冒頭です。謎めいてばかりでなんのこっちゃ?というスタートですが、最終的に謎はしっかり解けてお話もまとまっていますのでご安心ください。ただ、本作はストーリーも素晴らしいのですが、何よりゲームの世界観が特徴的で、たまに思い出してプレイしたくなる中毒性を持っています。

 まず、冒険中の謎解きが面白い。RPGにおける謎解きは、意外とプレイヤーにとって「これいるか?」という邪魔な存在になってしまうことも多々あります。しかし、本作の謎解きはたとえば、「3×3の9枚コインすべてを表にしなさい。ただし選択したコインの上下左右も裏返る」みたいなミニゲーム的なものも多く、プレイ中に頭を柔らかくして考える必要があり、これだけでも十分楽しめます。

 ダンジョン内の宝箱のカギを開けるために、毎回ミニクイズを解いていくような感覚はRPGではあまり味わえるものではありません。ぜひプレイして体感してみていただきたいです。

 そして、ゲーム全体のおとぎ話のような世界観もたまりません。

 猫同士で戦争している初めに行く「砂の世界」や、子どもしかいない「子どもの世界」、そしてトラウマもののホラーな世界観の「闇の世界」など、それぞれの世界でアークを探していくのですが、特徴的で秀逸なセリフ回し・テキストの数々に彩られた物語を雰囲気がそれぞれまったく異なる世界で楽しめる、という点も本作の大きな魅力です。

 そしてこの物語の世界観を形成しているのは何よりも音楽です。特に通常戦闘曲の『さぁ、ちからみなぎる、おれが相手だ!』や中ボス戦の『ヘイ、たたかってるぜ!』はカッコいい上にエモくておすすめです。

 タイトルから分かるこの遊び心は本作をプレイしていても感じます。このライトな感じとダークで美しい世界観、そしてミステリアスな物語。すべてのバランスがちょうどよく均整がとれて初めて、本作の甘美な世界観が生まれたのだなと思います。

 なぜ主人公だけが人間の姿に戻ることができたのか……? 真実はぜひ皆様の目でお確かめください……。

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