■スーファミの高性能だからこそ実現した圧倒的スピード感

 当時のスーファミが誇る新機能「回転・拡大・縮小機能」をフル活用した『F-ZERO』は、前ハードのファミコンのレースゲームでは体験できなかった、まさに圧倒的なスピード感と爽快感をもたらしてくれました。

グラフィックの美しさもさることながら、そのスピード感はすさまじかった

 最初はあまりにマシンのスピードが速すぎて目が追いつかず、操作とスピード感覚に慣れるまでがけっこう大変だったほど。レースゲームは比較的得意だと思っていたのですが、この『F-ZERO』ではコースの左右にあるガードビームにマシンをぶつけまくってパワーメーターを減らし、何度も爆発&炎上でリタイア。

 悔しくて何度もやりこんでいくうちにマシンを自在に操れるようになり、コースレイアウトを覚える頃には完全に『F-ZERO』のとりこになっていました。

■コース上の「多彩なギミック」に一喜一憂

『F-ZERO』のコース上には、ジャンプ台やマシンの速度を増減させるギミックなどが存在。場所によってはジャンプ台を活用して本来のコース外まで飛び出し、ショートカットすることも可能。また、ミスってコースを逆走してしまうアクシデントが発生したりと、レースゲームの楽しさの幅が広がったことを実感しました。

 そんな『F-ZERO』ならではのレース要素をあらためて振り返ると、同じ任天堂のレースゲーム『スーパーマリオカート』(1992年8月発売)との共通点を思い浮かべる方も多いことでしょう。

 それもそのはず、『マリオカート』は宮本茂氏による「2人用の『F-ZERO』を作ろう」の言葉をきっかけに開発が始まったことを、任天堂のゲームクリエイター・杉山直氏と紺野秀樹氏がインタビューで明らかにしています。

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