■既存ファン向きの映画での偉業

 今回の「無限列車編」は、『鬼滅の刃』を初めて見る人にも分かるように紹介や解説が入るような作品ではなく、登場キャラクターや「柱」や「呼吸」といった作中に出てくるワードの解説もなかった。26話にわたって放送されたテレビアニメの続き(コミックスでは7巻目に相当)を描いた映画なのだから、それは当然のことだ。

 つまり従来の「鬼滅ファン」がメインターゲットだったのは間違いないだろう。にもかかわらず、公開からわずか3日で46億円というかつてない興行収入を記録。早くも日本映画の歴代記録である『千と千尋の神隠し』(308億円)や『君の名は。』(250.3億円)にどこまで迫るか……といった次元で語られたりもしている。

 原作漫画やテレビアニメを視聴済みという前提ありきで観る人が大半の「無限列車編」と、映画だけで物語の完結する作品が同列に語られているという事実。そのことが「鬼滅の刃」や映画「無限列車編」のすさまじい人気と勢いを物語っているように感じた。

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