■範馬勇次郎という男の魅力
『範馬刃牙』の主人公は刃牙ではあるが、もう一人の主役とも言えるのが範馬勇次郎だ。大国アメリカすら服従するほどの圧倒的な力を持つ危険な男の本当の姿が、このシリーズでは随所に描かれる。ネタバレになるので今回は詳しい言及は避けるが、息子の刃牙すら知らなかった勇次郎の本質とも言える部分が作中で明らかになっていく。
漫画キャラクターの最強論を語る際には、必ずと言っていいほど名前の挙がる「超越した存在」である範馬勇次郎。ただ圧倒的に強いだけではない男のバックボーンを知るにつれて、ますます彼の魅力にひきつけられることだろう。
刃牙にとっては母親のカタキであり、実の父親でもある範馬勇次郎が満を持して対峙するクライマックスの場面。そのシーンがなぜ「史上最強の親子げんか」と表現されるのか……。『範馬刃牙』の全編を通して見れば、その意味がきっと理解できるはずだ。
(C)板垣恵介(秋田書店)/バキッッ製作委員会
(C)板垣恵介(秋田書店)/範馬刃牙製作委員会