■決まった明日がくるなら”今日楽しい”ほうがいい
さらに10年以上エヴァの考察をしていた私は作品を楽しみつつさまざまなパターンの可能性をイメージしてきた。「いや……! こうかもしれない……」「と見せかけて……こうかもしれない!」などと気がつけば“逆張り”属性も持ち合わせていることに気づく。この“逆張り”とはどうやら投資用語で、“順張り”という一般的な予測の、あえて逆をいくというものらしい。最近では、天邪鬼で人とは違う派のオタクにも使うんだとか。一般論とは逆を提案する厨二病も入った“逆張りオタク”……。自分だ……!!
ここで、自分なりの“逆張り思考”の性質を考えてみた。たとえば作品内で「AはA」という提示があったときに、「だよね!AはA!」と考えるのが“順張り”だとすると、“逆張りオタク”はこの時点で存在しない「いや、AはB!」「とみせかけてAはC!」など新たな解釈を生み出さなければならない。
このとき、根拠なく新たな解釈を作るわけにはいかない。“順張りを納得させギャフンと言わせるほど整合性のある解釈”を生み出さなければ…! という逆張りのプライドがあるのだ。
なのでそこからたくさん調べ情報を集め、0から“逆張り論”を作っていくのである。だからより知識も必要、情報を組み立てる力も必要。逆張り論を生むためには非常に多くの時間を使う上、その根性なのかしつこさなのかネチっとした部分も多分必要だ。そして“順張り”を論破できる力を手に入れたとき、最強の“逆張りオタク”が誕生することだろう……。
こいつ、誰と戦ってるんだ……と思うでしょ? 逆張りオタクはね、いつも自分との戦いなのだ! この力があれば「見方を変える」なんて朝飯前。コーヒーを服にこぼして落ち込んでも「頭からコーヒーかからなくてよかった! 今日はとことん洗濯祭りじゃい! きれいになってハッピー!」と、いわゆるポジティブ変換をすることもできるのだ。
『TENET』。常に状況把握と予測、考察をしながら見ることできっとしっくりくるはずだ。そして時間や時空の考え方はたくさんの漫画とアニメが教えてくれている。この基礎があれば大丈夫だと個人的には感じている。
さて、未来は決まっていると思う? 遠い未来の想像は難しいかもしれないけど、じゃあ、明日はどうなっていると思う? 8時に起きて……電車に乗って……仕事に行って、なんとなく予測はつく。もし明日の出来事すべてが決まっているとしたら。未来が決まっているとしたら。そうしたら、今日はどう過ごす? 決まった明日がくるなら、“今日楽しい”ほうがいい。楽しいこと、チャレンジしてみたいこと、やっても一緒、やらなくても一緒ならやったほうがいいんじゃない。時をかける徳井青空はそう思う。