■高名な学者と学者崩れの恋模様

 サジタリウス号のパイロットであるトッピーとラナに加えて、学者崩れのジラフ、謎多きサボテン風の吟遊詩人・シビップがメインキャラだ。

 キリンのような見た目のジラフは、考古学研究所の先輩・アン教授にずっと恋い焦がれている。しかし、ジラフはアン教授を追いかけて旅をしている間が無断欠勤扱いとなり、研究所からクビを宣告。一方、アン教授は自身の学説が認められ、研究者としての名声を高めていく……。

 アン教授はけなげなジラフを信頼し、次第に絆を深めていくが、プライドの高いジラフは二人の間の格差を埋めようと必死に。これが空回りして作中ではトラブル続きとなるのだが、独りよがりなジラフの想いや、二人の感情の“すれ違い感”は、まるで恋愛ドラマを見ているようで楽しかった。ちなみに二人はのちに結婚することになるが、アン教授は結婚後も仕事優先で飛び回り、ジラフの苦悩は続く。

「仕事と家庭、どっちが大事なの?」。現代では男女どちらが言っても不思議はないが、昭和時代に男のジラフ目線でこういった内容が描かれたのは興味深い。

 そんな、いわゆる昭和アニメのヒーロー像とはかけ離れた、人間味あふれる等身大のキャラクターやストーリー展開が異色だった『宇宙船サジタリウス』。子どもの頃に視聴していた人も、大人になった今あらためて見てみると、当時とは異なった視点で楽しめる作品かもしれない。

(ふたまん編集部)

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4