どうも、ヤマグチクエストです。本日、7月28日はセガサターン版『Dの食卓』の発売25周年の記念日です。皆様は『Dの食卓』という作品をご存知でしょうか。
本作はホラーテイストな世界観のアクションゲームで、発売当時としては珍しい3DCGによるムービーやその演出が斬新だと高く評価されました。1995年4月1日に、家庭用ハードとしてはコア向けだった3DO用ソフトとして発売され、その優れた芸術性が大きな話題となり、「マルチメディアグランプリ’95 通商産業大臣賞」を受賞。全世界で100万本を売り上げ、同年の7月28日にセガサターンに、12月1日にプレイステーションへと移植されました。
そんな斬新かつ素晴らしい作品を作ったのが今回の記事でご紹介させていただこうと思っております、飯野賢治さんというゲームクリエイター。今回は、25周年を迎えた『Dの食卓』の魅力と飯野賢治さんが作ったゲームと彼が遺したものについて書いていこうと思います。
■あまりに衝撃的…!『Dの食卓』の魅力とは
まずは『Dの食卓』のあらすじをご紹介いたします。物語の舞台は1997年のアメリカ。「ロサンゼルス総合病院」の院長であるリクター・ハリスが、院内にいる患者やスタッフなどを次々と殺して立てこもる大量殺人事件が発生します。この事件を受けて駆けつけた院長の娘であるローラ・ハリスが、単身病院に乗り込んで父親の説得に向かいます。……が、病院に乗り込むと突如、空間が歪み、謎の”古城”に迷い込んでしまいます。はたして父親に何があったのか。ローラは無事に脱出できるのか。そして、『Dの食卓』というタイトルに込められた意味とは……!?
といったあらすじとなっております。あらすじだけでも「面白そう!」と思った方も多いかもしれませんが、本作の特徴は何よりも演出とシステム面です。
ローラが迷い込んだ“古城”。これ、実は父・リクターの精神世界なのですが、この狂ってしまった父親の精神世界は2時間以内に脱出しなければ出口が閉じてしまうという仕様になっています。さらに途中セーブもないので、2時間で一気にクリアしなければまた最初からやり直さなければいけません。
逆に言えば「2時間でクリアできるボリューム」ともとれますが、謎解きで時間がかかってしまい、最初は失敗しても次は答えを知っているのでサクサク進める、ということを繰り返し遊びながら進んでいくことが前提になっているので、容量を削った少ないボリュームでも何度も遊べるという点も工夫されています。
また初めから持っている母親の形見であるアイテム「コンパクト」を使うと、ミラーにヒントが映し出されるのですが、使うたびにヒビが入ってしまい、複数回使うと割れてしまいます。
こういったアイテムの工夫もオシャレで素晴らしいですよね。特に「母親の形見」であるという点。すでに母親が亡くなっているという事実が何を意味するのか……。
狂った父親の精神状態を表している“古城”はそこかしこに死体やらなんやらと物騒なものが並んでいる異常な世界なのですが、その異常な世界の中でローラは自身の記憶とも対峙していき、狂った父親の精神世界からの脱出という表向きのテーマから、徐々にこのゲームに隠された裏の顔が明らかになっていきます。
自身の記憶と対峙していく中でもローラは多くを語ることはありません。しかし、その息遣いや心臓音は聞こえるようになっており、焦り・恐怖を煽ってきます。少ない情報でプレイヤーがより多くのことを感じられる、工夫された演出ですね。
確かに情報の少なさやセーブができない点など不親切な点は多々ありますが、それでもこのゲームが感じさせてくれた「新しさ」は当時のゲーマーたちに大いにウケました。
ストーリーやシステムが気になった方はぜひプレイしてみてください。今から25年も前の1995年に発売したゲームですが、きっとなにか「挑戦的」なものを感じ取ることができるでしょう。そしてゲーム作りの上で常に「挑戦的」であり続けたのが飯野賢治さんなのです。