■吉川が演じたハードボイルドな仮面ライダー

 吉川晃司といえば44歳当時、2010年に放送された『仮面ライダーW』で、由利麟太郎と同じく探偵の鳴海壮吉(なるみ・そうきち)を演じた。鳴海壮吉は、同作の主人公・左翔太郎が“おやっさん”と慕う探偵事務所の初代所長で、白い上下のスーツと帽子が似合う、まさにハードボイルドな名探偵だった。

 残念ながらテレビ本編から1年前の事件「ビギンズナイト」で死亡しているため、回想や写真のみでの出演となっていたが、鳴海壮吉はロストドライバーとスカルメモリを用いて「仮面ライダースカル」へと変身する。仮面ライダースカルはドクロがモチーフのライダーで、変身後も白い帽子をかぶり、ボロボロのマフラーを巻いたハードボイルドな姿がめちゃくちゃカッコ良かった。

 彼の活躍を堪能できる、2つの劇場版作品がある。

 今や「若手の登竜門」として名高い仮面ライダーだが、2005年に当時33歳だった細川茂樹(48)が「仮面ライダー響鬼」を演じたり、2007年には『劇場版仮面ライダー電王 俺、誕生!』で当時51歳だった渡辺裕之(64)が悪のライダー・仮面ライダーガオウを演じたりと、有名ベテラン俳優も随所で出演し、作品に深みを与えている。

 吉川晃司も例に漏れず、それぞれ2009年の映画『仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010』と、10年の『仮面ライダー×仮面ライダー オーズ&ダブル feat.スカル MOVIE大戦CORE』で、多くの観客を魅了した。

『~2010』は、テレビ版第1話の冒頭で語られていた運命の夜「ビギンズナイト」に焦点が当てられた話で、「男の目元の冷たさと、優しさを隠すのがこいつ(帽子)の役目だ」「帽子がサマになるのは、一人前の証拠だ」という、吉川でないと説得力が発揮されないシブいセリフでファンを魅了した。

 そして、翌年の『~CORE』では、『~2010』よりさらに過去のエピソードである、仮面ライダースカル誕生の瞬間が描かれた。本来の主演である桐山漣(35)と菅田将暉(27)よりも出番が多く、事実上の主役であった。

 同作では、スタントマンなしの生身のアクションシーンも多く盛り込まれているほか、「主人公の師匠」ではなく「1人の探偵」として、鳴海壮吉の内面が深く掘り下げられた。ちなみに、作中では吉川がハイキックをするたびにシンバルの効果音が鳴るという演出が何度もあるが、これはもちろん吉川がライブの際にシンバルを蹴り上げるパフォーマンスへのオマージュである。

 また、「仮面ライダー1号」が誕生する前の没アイデアに、顔がドクロのヒーロー「スカルマン」が存在することから、「W世界の0号ライダー=スカルマン」というオマージュだと考察するファンも多い。

『~CORE』では、本編で仮面ライダーWが使う決めゼリフ「さぁ、お前の罪を数えろ!」が誕生した瞬間も描かれており、これを生身の吉川晃司がポーズ込みで使うシーンがあり、バツグンにカッコいい。

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