■未公開カットがめじろ押しの総集編

 まず、17日は今年2月に劇場公開された『エピソードZERO』が地上波で初放送された。本編の前日談であり、「マブシーナの住む星に何が起きたのか」「なぜ地球にヨドンヘイムが攻め込んできたのか」「レッド以外の4人はどうやって集まったか」などなど、本編に関する重要な情報がめじろ押しとなっている。

 本編でも最低限の情報は説明されているし、一部は回想シーンで登場してはいるが、やはり物語をより楽しむためには、ぜひ見ておきたいエピソード。映画館に行けなかった視聴者は、今月下旬に発売されるDVD&Blu-rayを待つほかなかった。そこに、この地上波放送である。特に『キラメイ』から戦隊デビューした層には、思わぬラッキーだっただろう。

 さらに、24日には、『1・2話未公開カット蔵出し いまいちどスタートダッシュSP』が放送。2話を約25分の尺に収めるため、本来なら駆け足になってしまいがちな総集編に、『キラメイ』は粋なプラスαを加えた。本放送では尺の都合でカットされてしまった、未公開シーンを盛り込んだのだ。一般ドラマではこの春放送された『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)の特別編集バージョン『ムズキュン!特別編』に近いが、『キラメイ』の場合、児童層への配慮もあり追加シーンは画面左上に「蔵出しカット」と明記された。

 キラメイジャーに限らず、戦隊シリーズや仮面ライダーは、尺の都合でカットされてしまうシーンが非常に多いため「蔵出しカット」は、かなり貴重。通常のドラマの約半分の尺である特撮番組では、次回予告や雑誌で映っていた場面が本編ではカットされていた、なんてことがたびたびある。たまに公式サイトで未公開ショットが紹介されることもあるが、基本的にお蔵入りしてしまうことが珍しくない。

 2001年公開の映画『劇場版 仮面ライダーアギト PROJECT G4』のメガホンをとった田崎竜太監督は、今年4月17日に、同作で氷川誠を演じた要潤のYouTubeチャンネルに出演した際、「編集をして、ぜい肉をそぎ落として一番いい状態に1回なる。そこから尺に合わせるために切っていくと、今度は血が出てくる」「お客さんは感じないかもしれないけど、こっちとしては血まみれに見えちゃう」と特撮番組での編集技を語った。

 田崎監督の発言を裏づけるシーンが、今回のキラメイ特別編でも見受けられた。ネタバレのため詳細は伏せるが、「なぜ伝承を知らないはずの主人公が、伝承通りに5つの魔進をイメージできたのかを不思議がる司令官(古坂大魔王)」という、のちに重要になりそうなシーンが本放送時にはカットされていたのだ。

 もちろん、それでも問題ないように別の回でも似たシーンは挿入されているのだが、やはり作り手からは「血まみれ」に見えるだろう。そんなカットが、今回の総集編で日の目を見たのだ。幸運と呼ぶほかない。

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