■「まあゲームだから…」という先入観が全部「伏線」!?
まずはあらすじです。舞台は平安時代の京の都。朱点童子を中心とした鬼たちの襲撃により、都はほぼ壊滅的な状態でした。事態を重く見た帝は、朱点童子のいる大江山に多くの兵を送りますが、討伐はおろか誰一人として朱点童子のもとにすらたどり着けずに倒れていってしまう有様。
そんな中、お輪と源太というとある夫婦が朱点童子のもとにたどり着きます。
しかし、源太は朱点童子の罠に落ちてあっさり命を落とし、お輪は我が子を人質に取られてしまい身動きが取れなくなってしまいます。お輪は服従を条件に我が子の開放を望み、朱点童子はそれを受諾しその子を開放してくれましたが、この際に「復讐」を恐れ“2つの呪い”をその子にかけました。
それは、2年弱ほどで命を落としてしまう“短命の呪い”と、人間同士の子どもを作ることができなくなる“種絶の呪い”の2つ。この様子を憐れんだ天界で最もエライ神様・大照天昼子はその子に手を貸し、神々との間に子を授かれるようにしてくださいました。
その子こそ、主人公であるあなたです。もちろん呪いですぐに死んでしまうでしょう。しかしあなたは短い生涯の中で、神様との間に子孫を残し、そして次世代へと“命のバトン”をつないでいき、最終的に一族の悲願「朱点童子討伐」を目指すことになります。
これがオープニングです。燃えますよね。
しかし、この物語が朱点童子を討伐するという単純な「勧善懲悪モノ」だったとしたら僕はこんなに愛することはなかったでしょう。本作のストーリーは、他に類を見ないほど深く切なく、そして「結局、誰が悪いんだろう」というところまで考えさせられるほど奥深い仕上がりとなっているのです。
まず今お話ししたあらすじの時点でなにか「ひっかかること」はなかったでしょうか?
それは、お輪と源太が「朱点童子のもとにたどり着けたこと」です。
帝が選定した強い兵が道半ばで倒れていく中、この夫婦だけがたどり着けました。この理由は決して「ゲームだから」「たどり着かなきゃ始まらないから」ではありません。このゲームの登場人物の行動・言動にはすべて「明確な理由」があり、その細かな描写ですら「伏線」になっていることもあります。つまり、この2人がたどり着けたことにも理由がきちんとあるんですね。
さらにオープニングにはまだまだ「ひっかかること」があります。
たとえば、朱点童子は京都を焼き払うような超絶ワルモノなのに、なぜか子どもを見逃してくれたこと。これも「ゲームだから」ではありません。ちゃんと理由があります。
これだけ言ってしまうと「ネタバレなんじゃないの?」「伏線って聞いちゃうともう初見の気持ちで楽しめないのでは」と懸念される方もいらっしゃるかもしれませんが、正直これだけの材料で推理できるほど本作のストーリーは「浅く」ありませんのでご安心ください。
全員の行動に理由があるということをただのプレイヤーである私が知っているということは「プレイすれば分かること」なのです。なので、ぜひプレイして存分に味わってください。一見バラバラに見えた「ひっかかること」が1本の線につながる瞬間、この物語は「激変」します。