■悪い奴ではないぶりぶりざえもん
――そんな『しんちゃん』の最新作でのぶりぶりざえもんの印象はいかがでしたか。
神谷 何も変わらないです。卑怯者で、裏表がある。でもそれが完全に透けて見えちゃっているから、滑稽以外の何ものでもない。基本的にぶりぶりざえもんは、しんちゃんのラクガキから生まれた“しんちゃんの分身”のような存在なので、子どもが思い描くような、とてもわかりやすいキャラクターなんですよね。
――今作でのぶりぶりざえもんは、メインキャラクターの一人ですね。
神谷 いつか満を持して、ぶりぶりざえもんというキャラクターをちゃんと使ってもらえるんじゃないかなって期待していました。キャラクターをとても大切にしてくださっているスタッフたちなので、お呼びがかかるときは覚悟しておかないとな、と。
――ぶりぶりざえもんは、今回もギャグ要素が満載で、期待通りの“卑怯な一面”も見せてくれますが、ラクガキングダムから春日部を守るために、最終的には彼なりの“意思”を見せます。神谷さんは、ぶりぶりざえもんの思いをどう汲み取りましたか。
神谷 「救いのヒーローだ」と自分で言ってますし、しんちゃんもそのつもりでぶりぶりざえもんを描いているので、やはりヒーローなんですよね。それ以外は、守銭奴だし、卑怯者だし、いいところが一つもないのですが……（笑）。
――（笑）。でも憎めないんですよね。
神谷 そうですね。ぶりぶりざえもんを語るうえでの大切な要素として、嫌われないキャラクターというのはありますね。今回の劇場版でも、救いのヒーローとして登場するわりには、一瞬で敵に寝返る。そこに１ミリも逡巡がないあたりは見事だなと思うしかないんですけど。その後、コウモリのように敵になったり味方になったりとあっちこっち行くことを繰り返し、最終的にはヒーローとしての自覚が垣間見える瞬間もあったりして。いい奴とは言いにくいですが、悪い奴ではないんだなと思いましたね（笑）。
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