原画展などに行ったことはあるだろうか?

 アニメや漫画の原画が展示されているわけだが、複製のものもあれば本物の生原稿が展示されているときもある。紙の原稿用紙に鉛筆やインクで描かれた生原稿は、その線から、紙から、圧倒的な作者のオーラを感じることができる。本に印刷されるときには消されてしまっている小さなゴミや擦った汚れ。原画展に行くのはもうこの汚れを見に行っていると言っても過言ではないほど。

 インクの線だって平面ではなく、描いたときのスピード感や筆圧でかなり立体的だ。けしてスピリチュアル的な意味合いではなく、そういう細かな情報が作品におけるオーラを作っているのだと思う。たまにコミックスのカラーページに原稿をそのままスキャンしたものが載ってるときがあるが、コマの外のメモ書きや、いかにもパリパリになっていそうなセロハンテープで補修された部分を見つけると、私は「うーシビれる!」と感じてしまう。

 紙に描いた生原稿は一度データとして取り込まれるけど、本になって紙に印刷されたときにもう一度生原稿に近くなって、オーラが再現されている気がするのだ。まるでオーラの濃縮還元や!(彦摩呂風)

 この春、特に漫画サイトやアプリなどでみなさんもたくさんの作品に出会ったのではないだろうか。そういう私も自分の漫画『まけるな!!あくのぐんだん!』が電子書籍でもリリースになって非常にうれしかった。より手軽に漫画が楽しめるうえ、何度読んでも汚れたり破れたりしない。本当に便利だ。

 ただ欲を言えば、この電子書籍をきっかけにぜひ本屋さんでコミックスも手にとってほしいと思う。私の原稿がもう一度紙になったとき、「見る」ではなく「読む」という体験を通して物語を味わってもらいたい。電子書籍化が進み出版社も困っていると聞くが、それはけして金銭的な問題だけではなく、作家さんの作品をぜひ「読んで」もらいたい……と思う編集者さんの想いがあるからではないのかなと勝手に想像してしまう。

 ……などと言ってはいるが、実は私の漫画、コミックス2巻に関してはすべてデジタルで描いている。デジタル生まれの作品であっても、やはり紙に印刷することで初めて「読む」ことができるのではないだろうか。電子書籍の作品も実際に書籍化されているものが多い。もう内容は知ってるし、とコミックスに触れないのはもったいない。「見て」楽しんだ作品を、今度は「読んで」楽しめば2回も楽しめると私は考える。そして、もっともっとたくさんの作品を「読んでみたい」と、いちオタクとして私は思う。

 もし自分の知っている作品の原画展など開催されていたらぜひ足を運んでみてもらいたい。そして生原稿のオーラをもっと多くの人に味わってほしいのである。基本的には作品ごとの開催になるので、個人的には幕張メッセぐらいの規模で、一日中さまざまな原画展をハシゴ出来るようなイベントの開催を望んでいる。誰か! どこか! 超大規模原画展やってくれ~!

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