アニメではこうして製本された台本が用意されているが、ゲームの台本はというと、実は本にはなっていない。台本のデータを普通のコピー用紙に印刷したものが作品サイドから送られてきたり、またはデータが送られてきて各自印刷して収録に持ってきてね、というときもある。
最初から紙に印刷された台本をいただいた場合はそれを持っていけばいいだけなのだが、データで送られてきた場合は、タブレットを使ってそのままデータを開きながら収録することもできる。フルボイスのゲームともなると、紙の台本ではダンボールいっぱいの量になることも。それを何回かに分けて収録するので、そのたびに電話帳3冊分ぐらいの厚みになった紙台本をカバンに詰めて持っていくことを考えると、すべての台本がタブレット一つに入っているほうが肩にも優しいという感じもする。
私の場合データで台本をいただいても、すべて紙に印刷して持っていくタイプなのだが、一度自宅のプリンターが壊れてしまい、タブレットの台本で収録したことがある。もちろん紙の台本と同じようにセリフは読めるのだが、少し違和感があった。
タブレットで収録する声優さんもいるし、どっちが良い悪いとかではなくあくまで個人の感想なのだが、そこで私が感じたのは「私は今、台本を読んでいるのではなく、画面を見ているだけにすぎない!」ということだった。非常に感覚的なことなのでこれがはたして他の人に伝わるのか分からないが、とにかくこのときに「読む」と「見る」の違いを明確に感じてしまったのだった。