■遊園地の設計を逆に利用した演出

「野外劇場」のステージ上にはジェットコースターが走っているんですが、ショーの途中でコースターが走ることで、当然お客さんの目がそっちに向いてしまいます。ショーに集中してもらいたいが、かといってジェットコースターを無くすなんてことなんて出来る訳がない。ではどうする? と悩んでいたところ、「だったらそれを使ってしまえ」という逆転の発想をしたそうです。構造上、ちょうど運良くステージ真上で速度が落ちるんです。「ジェットコースターからレッド登場!」という、この演出のために遊園地が設計されたのかと勘違いするほど、うまいことマッチングしたんです。

 この演出は大野剣友会の創設者・大野幸太郎さんのアイディアで、1番最初にコースターに乗ったのは「仮面ライダーストロンガー」だったそうです。大野剣友会の中屋敷哲也さんはインタビューで、「自分が最初にあのコースターをやった」と答えていたので、そのストロンガーは中屋敷さんなのでしょう。中屋敷さんといえば、ミスター仮面ライダーの異名を持ち、テレビで仮面ライダーストロンガーを演じていたスーツアクターです。そう考えるとなんとも贅沢なショーです。

 当時僕は、このレッドが乗るコースターにどーーーーしても!乗りたくて、タイミングを見てコースターに並びました。その車両に出くわすのは運です。しかし、意地でも乗りたかった僕は、後ろの方に先にどうぞどうぞと譲り、それを繰り返し微調整に微調整を重ねることで、なんと!ヒーローが先頭に立つジェットコースターに乗れたんです!しかもピッタリとヒーローの真後ろ!ただそのときに限って、レッドではなくホワイトというオチではありますが……。

 とはいえ、あの真後ろで見た出来事は今でも目に焼きついています。「命綱なし」をこの目で確かめましたから。しかもホワイトは最初から立っていたんです。スピードが緩むあたりで立てばいいのに、あの最初のカタカタカタカタカタ……って急な坂を登ってるときから立ち続けているんです。そのあと、ジェットコースターはすごいスピードで降りてくんですが、そこでも微動だにせず立っています。見ているこっちが「え!? ちょっ!落ちない!? 大丈夫!?!?」って不安になるぐらい高いし速いんです。もう職人ですよ。サクッと演って、サクッと帰っていきました。バケモノかと思いました。

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