数多くのヒット作を世に送り出してきた老舗ゲームメーカー「コナミ」のファミコン参入第一弾ソフトとなった『イー・アル・カンフー』は、今からちょうど35年前の1985年4月22日に発売されました。
同日に『けっきょく南極大冒険』、2か月後には『ハイパーオリンピック』をリリースするなど、コナミはジャンルを問わず個性的なゲームを次々と投入。当時のファミコンキッズたちに強烈なインパクトを与えました。
当時はジャッキー・チェンを筆頭としたカンフー映画が流行していて、アニメでも『北斗の拳』(フジテレビ系)などが大人気。当時の子どもたちは徒手空拳で戦う“格闘家”に少なからず憧れを抱いたものです。そんな背景に加えて、まだファミコン初期の段階でソフト数が少なかったこともあり、『イー・アル・カンフー』の登場は大きな話題になったことを記憶しています。
『イー・アル・カンフー』は、ファミコン版が出る前年にアーケードゲームとしてリリース。対人戦はできないものの対戦格闘ゲームの“はしり”とも言える、一対一のバトル形式のゲーム性。さらにレバーを入れた方向によって繰り出す技が変わる操作感がウケ、一躍人気タイトルとなりました。
アーケードゲームをファミコンソフトとして移植するケースはよくありましたが、当時はアーケードとコンシューマー機の性能差が大きく、完全移植は難しい時代です。『イー・アル・カンフー』もその例にもれず、アーケード版と比べるとグラフィックなどはかなり簡素化されていました。
しかし、キャラクターの操作性や、ゲームの根幹となるゲーム性はファミコン版でも健在で、技が当たったときの打撃感も爽快! つい何度もプレイしてしまう、謎の中毒性がありました。
また、『イー・アル・カンフー』と言えば、対戦開始前に流れる中華風のBGMが耳に残っている人も多いはず。2000年代にはヒャダイン氏が『イー・アル・カンフーで、ラップ』という動画を公開し、これが一部でブームに。『イー・アル・カンフー』のBGMにラップをつけるという同曲のインパクトもあり、筆者はこのゲームのBGMが流れると「天津甘栗 烏龍茶 イーアルカンフー♪」という歌詞が脳内で勝手に再生されます。