■子どもでもクリアまでたどり着ける絶妙な難易度
当時のファミコンソフトとしては珍しく(?)、しっかりクリアできるゲームだったことも特筆すべきポイントかもしれません。ハイスコアを競うだけの終わりのないゲームや、難解すぎて子どもには到底クリアできそうにないゲームも多かったので、誰でも(それこそ小学生でも)努力すればクリアできる、絶妙な難易度の『くにおくん』は貴重な存在でした。
とはいえ、適当にパンチを連打するだけでは厳しいので、上手な人のプレイを見て、それをマネしながら少しずつ上達していく過程が本当に楽しかったですね。
『熱血硬派くにおくん』は全4ステージ。うまい人なら最短10分くらいでクリアできるボリュームですが、ステージ1つ1つがしっかり作りこまれていて内容は充実しています。
ステージ1は“しんじゅく”駅のホームが舞台で、のちのシリーズでは「マッハパンチ」でおなじみの「りき」がボスです。背景には今では懐かしい緑色の山手線らしき車両や、謎の力士の看板があります。これが「突っ張りとツッパリ」をかけているのかは定かではありませんが……。
ステージ2ではバイクに乗った敵が登場。これをジャンプキックで倒していくと、くにおくん自身もバイクに乗り込んで、敵のバイクを蹴り飛ばす特殊なステージに突入します。くにおくんも敵のライダーも、当然のように“ノーヘル”なのが時代を物語っていますね。
ステージ3は、夜の街でスケバンたちとのバトル。このステージのボスの「みすず」は、少々強めのパーマと厚化粧が印象的な巨体のスケバンです。その強烈な見た目通り、本作最強のボスと言われるほどの強敵で、間合いを詰められると体ごとつかまれ、強烈な往復ビンタを食らってしまうこともありました。
最後のステージ4は、迷路のように入り組んだマップになっていて、選んだルートによっては今まで戦ったボスが同時に複数出現することもあります。複数のみすずが同時に登場したら絶望を感じますね……。
そしてラスボスの「さぶ」は、高校生相手に容赦なく拳銃をぶっ放してくる凶悪極まりない存在です。1発でも弾丸に当たってしまうと即死なので、奥行きをうまく使って正面に立たないように戦うのがコツでした。