■かませ犬感が濃くなる『風魔の小次郎』の“2大巨漢”
『風魔の小次郎』では、黒獅子と劉鵬という2人の巨漢キャラが登場。このあたりから車田氏の描く「巨漢キャラ=かませ犬」の法則が色濃くなってきます。
黒獅子は、小次郎たち風魔一族と敵対する夜叉一族の最強戦士・夜叉八将軍の1人。巨漢ながら、初登場時は最強のサイキックソルジャー・飛鳥武蔵に気づかれずにその背後をとるという、優秀な忍びらしい実力の片鱗を披露。八将軍のリーダー格でしたが、最後は聖剣・風林火山を覚醒させた小次郎の前に、なすすべなく倒されてしまいました。
この黒獅子は、かませ犬と言えばかませ犬ですが、超常兵器のような聖剣を小次郎に使われてしまったので、少々気の毒な最期ではありますね……。
そしてもう1人、風魔一族イチの巨漢・劉鵬は、夜叉一族との戦いを生き抜いた風魔5戦士の1人ですが、解説できることが彼にはほとんどありません。第一部「夜叉篇」では彼は一度も戦うことがなく、自慢の怪力を見せつけたのは石灯篭を破壊したワンシーンのみでした。
続く第二部「聖剣戦争篇」では登場機会すらほぼ与えられず、ようやく姿を見せた第三部「風魔反乱篇」では、戦闘シーンが描かれることなく倒される始末。あまりにも存在感の薄い劉鵬については、“かませ犬”と呼ぶことすらためらわれる悲しい巨漢でした。