スタジオジブリ制作の映画では、プロ声優ではなく芸能人や文化人をキャラクターに起用することが多い。宮崎駿監督はその理由について、『ジブリの教科書3 となりのトトロ 』(文藝春秋)の中で、「女の子の声なんかみんな、『わたし、かわいいでしょ』みたいな声を出すでしょ。あれがたまらんのですよ。なんとかしたいといつも思っている」と語り、プロの声優を起用したがらない理由を明かした。また、そういった試みはファンだけでなく、業界内でも好評で、今年3月に発売された『月刊ニュータイプ』4月号(KADOKAWA)で特集された声優の大塚明夫と山寺宏一の対談で、山寺が『となりのトトロ』でサツキとメイの父を演じた糸井重里や、『風立ちぬ』で主人公・堀越二郎を演じた庵野秀明を絶賛。山寺が「同じ味を出せといわれても僕は絶対にできない。庵野さんのしゃべりを研究したが真似できなかった」と褒めると、大塚も「おれもできなかった」と同意した。
男性キャラだけでなく、女性キャラも個性豊かな芸能人たちが声優を担当するジブリ映画。そこで今回は、「ジブリの女性キャラを演じた芸能人で、演技が上手いと思ったのは誰か」について、30〜40代の男女200人に聞いてみた。(アンケートサイト「ボイスノート」調べ)
まず、全体の6%の人に選ばれて第5位になったのは『おもひでぽろぽろ』の主人公・岡島タエ子役を演じた歌手の今井美樹(56)。
1991年に公開された『おもひでぽろぽろ』。作中の舞台は1982年で、27歳になるOLの岡島タエ子が、山形へ自分探しの旅に出て、寝台列車の中で小学5年生の時代に思いをめぐらせるというストーリー。今井は同作で、山形への永住と東京生活のはざまで揺れる主人公のタエ子を熱演。ナチュラルな演技が好評を博した。
今井は同作が声優初挑戦であったが、この活動をきっかけに、テレビ番組やプラネタリウムのナレーターなどの活動も行うこととなった。また同作では、タエ子が田舎で出会う青年・トシオの声を俳優の柳葉敏郎が担当。東北弁を扱う朴訥な柳葉の声が高い評価を集めた。