■福満「『ひとくい家族』は『万引き家族』の人食いバージョン」
──エッセイマンガ家対談と言いつつ、福満さんが「webアクション」で開始する新連載はストーリーマンガなんですよね。『ひとくい家族』という攻めたタイトルですが……。
福満 Webでは、ちょっと過激なほうが流行るじゃないですか。だからインパクトがあるものがいいなと思って。でも、ツイッターでは一切宣伝しませんよ! 絶対叩かれますから。
──この設定はどこから生まれたんですか?
福満 『万引き家族』という映画がありますよね。観てないんですけど、おそらく万引きはするけどいい家族なんだろうなと思って。その人食いバージョンがこのマンガです。いい家族なら、読者は人食いをも許せるだろうかという挑戦ですね。最初は読み切りのつもりで描きましたが、連載になったので強引にバトルに持っていくつもりです。今まで描いてきたパターンと一緒ですね。宮崎駿監督も評価されるまでは同じパターンを繰り返しましたから、僕も世間一般の方に広く認知されるまでは、同じパターンをやってやろうと思って。
──永田さんの「webアクション」での新連載は『迷走戦士・永田カビ』。「愛し愛されている人たちが実在する」という現実に、衝撃を受けたそうですが。
永田 両親や親戚を見て、「一定の年代になると人はいやいや結婚させられるもんなんだ」と思っていたんです。でも、実はそうではない人たちがいるらしいと気づいて「何だったんだ、私が今まで見ていた世界は」って。いろいろ模索しつつ、自分の中で結論が出るまでの過程を描くつもりです。
福満 話の枕がうまいですよね。きちんと問題提起されていて、引き込まれました。見習いたいです。
永田 前作のAmazonレビューを見たら、「この人誰?」って書かれていたんです。「いやいや、読んどいで『この人誰?』はないやろ」と思って。それで、とりあえず自己紹介から始めよう、と。
福満 雑な悪口って、けっこう傷つくんですよね。
永田 丁寧な長文の悪口は、むしろ「よくぞここまで書いてくれた」と思いますよね。
福満 僕なんかはエゴサーチをしても、もう悪口を書く人もいませんけどね……。
(記事後編は4月3日公開予定)
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双葉社「webアクション」では、おふたりに加えて押見修造、鮫島圓、若井ケン、梵辛、RENA、つゆきゆるこ、U-temo、さそうあきら、奥嶋ひろまさ、相原コージ、棚園正一、高橋聖一、瀬崎ナギサなどの新連載、新企画も続々スタート。毎週金曜正午更新。
https://comic-action.com
■PROFILE
福満しげゆき/ふくみつ・しげゆき
1976年生まれ。97年、雑誌『ガロ』掲載「娘味」でデビュー。『僕の小規模な生活』『うちの妻ってどうでしょう?』『妻に恋する66の方法』などの実録マンガに加え、『就職難!! ゾンビ取りガール』などのストーリーマンガも人気。新刊『妻と僕の小規模な育児』第1巻発売中。
永田カビ/ながた・かび
1987年生まれ。投稿サイト「pixiv」にアップしたレズビアン風俗体験マンガが閲覧数480万を超え、『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』として書籍化。他の著作に『一人交換日記』全2巻。新刊『現実逃避してたらボロボロになった話』発売中。
■作品概要
『ひとくい家族』
福満しげゆき
「うちは貧乏で…ホントに貧乏で…もう…人の肉を食べてました」──。お父さんが失業してからというもの、日々の食事もままならない貧乏一家。食卓に乗るのは、お父さんが獲ってくる人の肉。女子中学生・凛子は「もうこんな肉食べたくない」と抗うけれど……。禁断のストーリーギャグ、開幕!
『迷走戦士・永田カビ』
永田カビ
これまで「パートナー間の愛など存在しない」と信じ込んでいた永田さん。でも、結婚式で幸せそうに笑う友人やツイッターのほっこりエピソードを見ると、どうやら実在するようで……? 一人結婚式、マッチングアプリへの登録──愛し愛される関係に焦がれてもがく、迷走ジタバタコミック。