3月27日にオープンした双葉社のコミックサイト「webアクション」で、福満しげゆきさん、永田カビさんの新連載がスタート!
『僕の小規模な失敗』で青年時代の鬱屈を、『うちの妻ってどうでしょう?』では家庭生活を生々しく綴ったエッセイマンガの巨頭・福満しげゆきさん。一方、永田カビさんは『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』で話題をさらった同ジャンルの新星だ。
自分の体験や内面を赤裸々に描く「私小説」ならぬ「私マンガ」の中でも、ひときわガチ度が高い二人が初顔合わせ! 「なぜ我々はみっともない自分をさらけ出してマンガを描くのか」をテーマに、酒を酌み交わしつつ本音で語り合ってもらった。前編では、エッセイマンガを描く理由、新連載に込めた思いが明らかに!
(取材・文:野本由起)
■福満「永田さんは僕より捨て身です」
──お二人は身を削ってエッセイマンガを描いていますよね。
永田 別名義でデビューしたときは、実はフィクションを描いていたんです。でも、鳴かず飛ばずで……。そんなときに、自分のことをできる限りあけすけに描いてみたらネットでバズって。それが成功体験としてインプットされて、「フィクションはダメだ、エッセイで行くんだ」となってしまいました。
福満 なるほど。いきなりエッセイマンガから入った人は、画面がしょぼいことが多いんですよ。でも、永田さんは演出や視覚効果がすごくうまい。ストーリーマンガを頑張った歴史があるからなんですね。
永田 ありがとうございます。世間的には自分の体験を描くほうが恥ずかしいと思うんですけど、自分の場合はそっちのほうがかえってラクで。自分が脳内で作り上げた物語を、みんなに「見てくれ!」ってやるのはすごく恥ずかしいんです。
福満 僕の場合は、「やってやれ!」みたいな感じですね。「こんなこと言ってやった! ぬるいエッセイ描いてるヤツには言えないだろ!」と。でも、今日永田さんにお会いして、マンガの印象に近かったので驚きましたね。僕は、自分の顔をそのまま描くことはできなくて。キャラだから描けたというところがあります。
永田 私も似てないようにしたつもりですけど、似てますか……。
福満 相当印象が近いですよ。ある種、僕よりも捨て身だなと思いますね。僕は“本当”にすごくこだわるんです。でもキャラが嘘なので、そこを突っ込まれたら返す言葉もないんです。
永田 私は福満さんの本を拝読して、リアリティとマンガ感のバランスがすごいなと思って。ノンフィクションですが、キャラが立っていてマンガとしてすごく面白いんですよね。
福満 いやいや。まだお会いしたばかりですけど、永田さんと作品と照らし合わせると相当真実度が高い。なおのこと、描くのに度胸がいるでしょうね。