■1番好きな相手に「好き」と伝えられない苦しさ
続いてのおすすめの作品は、ヤマシタトモコさんの2007年の作品『くいもの処 明楽』の中に収録されている『フォギー・シーン』です。
『フォギー・シーン』は、友人の孝司を好きになってしまった、高校2年生の透が主人公。孝司を好きな気持ちを隠しながら生活してきた透は、ある晩、バーで出会った井西と関係を持つんですが、その井西が次の日に学校に臨時の英語教師としてやってきます。透は、孝司とのかなわない恋を井西で埋めようとして……。というお話。
この作品は心理描写がめちゃくちゃ突き刺さる内容でした。
もともとヤマシタトモコさんの作品はBL以外の漫画も大好きで読んでいるのですが、とにかく心理描写が繊細で女性ならではの視点で男性の心理を描くので心に響きます。
友人を好きになってはいけないのに、1番好きでそのつらさを他で埋めようとする透に胸が締めつけられます。好きなのに「好き」を堂々と伝えられない苦しさに、思わず涙してしまうこと間違いなしです。
今回BLレビューを書かせていただいて、私めちゃくちゃ切ないストーリー好きじゃん……!と気がつきました。やはり異性では感じられない、同性だからこその心の葛藤はBLの見どころだなあと再認識しました。