■『はじめの一歩』は連載も終盤!?

 連載開始が1970~80年代前半のものでは『三丁目の夕日』『クッキング・パパ』『BARレモン・ハート』など、一定のじんわりした温度感で現在まで細く長く続く青年作品群が多いが、80年代後半から、いよいよ少年漫画が出てくる。87年にスタートした『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦=集英社)などは、独特のセンスで現在も熱狂的なファンを集める作品だが、こちらは世界観は共通しているものの各シリーズに分かれているので、厳密には同じ連載とは言い難いものがある。

 その点、89年スタートの『はじめの一歩』(森川ショージ=講談社)は、今なお続く堂々たる長期連載だ。「もともといじめられっ子だった主人公の一歩がボクシングによって強くなるというセオリー通りの展開ですが、合間合間に“強くなるとはどういうことか?”という問いが挟まれてくるのが、すごく好きでした。一歩だけじゃなく、脇役たちの試合に関してもすごく丁寧に描いていて、ボクシングという残酷なまでに勝負が分かれる題材を扱っていながら“この世界はみんなが主役なんだな”と思わせてくれる、とても温かい作品ですね。最近、連載も終盤なのか、一歩の様子に変化があるのが心配……おっと、ネタバレになっちゃうかな」(東京都内のキックボクシングジム経営者)

 終わらない連載と言えど、人間が描いていれば、いつかは終わりが来る。2017年、ついに44年にわたる連載に幕を下ろした『浮浪雲』(ジョージ秋山=小学館)は、その“畳み方”まで独自路線を貫いていた。「最後の何コマも使って、ひたすら“ザザーン”と波音が響く無人の浜を描くだけ。あまりにもシュールでした。あんな見事で、ワケの分からない終わり方、ないですよ」(小碧氏)

 ここまで書いてきたものの、1990年代に入って、ようやく連載開始する『名探偵コナン』『ワンピース』『ミナミの帝王』『天牌』『ハンター×ハンター』などには、ページの都合でまったくたどり着けなさそうだ。なんとも奥の深いご長寿マンガの世界、あなたもドップリ浸かってみては?

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