■後輩に贈った本気の勝負! 流川が見せた意外な一面

 1995年公開の劇場版第4作『スラムダンク 吠えろバスケットマン魂!!花道と流川の熱き夏』では、流川楓の母校・富ヶ丘中学バスケ部の後輩、水沢イチローの物語が描かれる。

 原作の海南戦でも、スタンドで流川の活躍を見ていた富ヶ丘中学バスケ部の後輩が「僕……富中に入ってよかった…!!」と感激する場面がある。母校の後輩たちにとって流川が憧れの存在だったことがうかがえるシーンだ。

 劇場版に登場するイチローも、そんな流川に憧れる後輩の1人だ。富ヶ丘中学バスケ部の主将を務め、将来を期待されていた彼だが、右膝の関節結核という病により選手生命を断たれかけていた。それでもなお、憧れの流川と同じコートに立ちたいという強い思いを捨てきれずにいたのである。

 姉の水沢茜や赤木晴子たちの働きかけで、イチローは湘北バスケ部の紅白戦に参加する機会を得る。ところが流川は「中坊とじゃやりにくくてしょうがねえ」と辛辣な言葉を口にし、イチローの敵チームに入ってしまう。

 だが、それはイチローにとって最後になるかもしれない試合だからこそ、あえて敵として立ちはだかり、本気で勝負しようとした流川なりの誠意だった。手加減なしの流川のプレーに対し、イチローも持てる力を振り絞って挑んでいく。

 本編では桜木と同じく、どこか生意気な1年坊主としての印象が強い流川。しかし、このエピソードでは、「憧れの流川と同じコートに立ちたい」という後輩の願いに、不器用ながらも全力で応えようとする先輩としての姿が描かれている。後輩たちから深く慕われる流川の、意外な一面を知ることができるエピソードだ。

 

 劇場版で描かれた3つの物語には、原作漫画だけでは知ることのできなかったキャラクターたちの意外な縁や、心に残る出会いが詰まっている。

 中学時代の出会いが高校での因縁へとつながった宮城と三井、原作第1話のわずかな描写から大きく物語が膨らんだ花道と小田の関係、そして後輩の願いに全力で応えた流川。それぞれの物語を知ることで、キャラクターたちの新たな一面も見えてくる。

 原作やテレビアニメでは描かれなかった過去や関係性に触れられるのも、劇場版ならではの大きな魅力だ。すでに作品を知り尽くしているというファンも、あらためてキャラクターたちの「運命の出会い」に注目しながら、劇場版を見返してみるのはいかがだろうか。きっと新たな発見と感動が得られるはずだ。

 

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