昭和から現在に至るまで、数々の名作やブームを生み出してきた医療ドラマ。その中心は医師というイメージが強いが、医師とともに患者を支え、医療現場を支える存在として欠かせないのが「看護師」である。
ドラマに登場する看護師たちは患者の心身に寄り添いながら、ときに悩み、ときに恋をし、さまざまな困難に向き合っていく。その性格や仕事への向き合い方、恋愛観も作品ごとに大きく異なり、看護師として奮闘する姿に心を掴まれた視聴者も多いだろう。
そんな看護師役を演じる女優たちのナース姿は、ドラマにおける大きな見どころのひとつ。清楚な白衣から現代的なパンツスタイルまで、その魅力的な着こなしはキャラクター性を際立たせており、「こんな看護師さんがいる病院なら通いたい」と観る者に思わせるほどの仕上がりだ。
そこで今回は、まさに“白衣の天使”と呼ぶにふさわしい、劇中で印象的なナース姿を披露した女優たちを振り返る。
(第3回/全5回)
※本記事には作品の内容を含みます
■涙の訴えで島民の心を動かした『Dr.コトー診療所』柴咲コウの凛としたナース姿
どこか頼りなくお人好しな医師を、凛とした芯の強さと深い愛情で支える看護師を演じたのが柴咲コウさんだ。柴咲さんは山田貴敏さんの人気漫画をドラマ化した名作『Dr.コトー診療所』(フジテレビ系)に登場する看護師・星野彩佳を演じた。
吉岡秀隆さん演じる主人公・五島健助(コトー)は、医師としての腕は一流なものの、普段はどこか抜けている人物だ。彩佳はそんなコトーに対し、時には厳しいツッコミを入れながら診療所を切り盛りする。
キリッとした目元とクールな佇まいを持つ柴咲さんが、目尻の下がった物腰柔らかなコトー先生にテキパキとハッパをかける様子は実に対照的。放送当初からまさにベストキャスティングだと評判を呼んだ。回を追うごとに彩佳は陰ながらコトーを支え、彼がこの離島で医師として生きていく自信を与え続けていくのである。
本作は2003年から第1シリーズが放送され、当初は赴任した医師と島民との間の葛藤がテーマの主軸だった。コトーが赴任した絶海の孤島・志木那島では、過去に何人もの医師が短期間で去っていった経験から、コトーに対しても“どうせこいつもすぐに逃げ出す”という不信感が渦巻いていた。
さらに物語が進むと、週刊誌の記者・巽健司(津田寛治さん)が来島し、巽の妹に関する医療事故の疑惑を島中に吹聴する。過去の疑惑を知った島民たちはコトーを再び批判し、この島から出て行けと追い詰めるのだ。
そんな中、島民たちへ涙ながらに強く訴えかけたのが、コトーの献身を間近で見守ってきた彩佳だった。第10話で彩佳は、「あんなにみんなのことを考えて、夜中でも朝早くでもイヤな顔ひとつしないで、往診までしてくれた先生はいた!? みんなのために必死になってオペまでしてくれた先生はいた!?」と、涙ながらに島民たちに訴える。普段はクールな看護師としての印象が強い彩佳が、島民の頑なな心を激しく揺さぶる様子は、本ドラマ屈指の名シーンである。
そんな彩佳のナース姿は、2003年・2006年の連ドラ版では、爽やかな白衣のワンピースだった。髪を後ろで1つにまとめ、島中を自転車で駆け回る若々しく活動的な姿が鮮烈だった。
そして前作から16年の時を経て公開された2022年の映画版では、コトーと結婚して「五島彩佳」となり、妊娠7カ月の身重の看護師として登場。お腹を優しく包むマタニティ仕様の白衣ワンピースを身にまとう。印象的だった長い髪もショートボブにばっさりと切り、母になる覚悟と長年診療所を守り続けてきた風格を漂わせている。
約20年の歳月を経て、コトー先生の頼もしい相棒から最愛の家族になった彩佳。島民たちを守るために奮闘した柴咲さんのナース姿は、まさに時代を超えて語り継がれる“究極の白衣の天使”といえるだろう。
■16年ぶりに制作…映画『Dr.コトー診療所』をPrime Videoでチェック



