■イケメンにも媚びない! 猫猫と壬氏の絶妙すぎる距離感

 最後に語りたいのが、宦官・壬氏(ジンシ)との独特の関係性だ。

 壬氏といえば、後宮の女官たちが一目見ようと群がるほどの圧倒的な美貌の持ち主。そのうえ、上級妃にかかわる重要な仕事を任される特別な立場にあり、宮中では誰もが憧れる存在である。これほど完璧な男性から好意を寄せられたら、恋に落ちてしまうのがラブロマンスの定石だろう。

 ところが、猫猫はまったく違う。アニメ第5話「暗躍」では、壬氏からかんざしを贈られるが、喜ぶどころかその裏にある意図を冷静に探ろうとする。どれだけ美しい顔で迫られても、身分の高い相手であっても、決してなびくことはない。その徹底した無愛想な態度は、むしろ見ていて痛快だ。

 そんな猫猫に、壬氏は逆に新鮮さを覚え、次第に強く惹かれていく。一方の猫猫にとって壬氏は、好意を寄せてくる美男子というより、「何を考えているのか分からず、できれば深入りしたくないやっかいな人物」という認識だ。それでも壬氏が抱える複雑な事情を知るにつれ、少しずつその存在を意識するようになっていく。

 アニメ第2期では、そんな2人の関係にも変化の兆しが見えた。

 アニメ第36話「華瑞月」では、刺客に襲われた2人が洞くつへ逃げ込む展開が描かれる。そこで猫猫は壬氏の体に触れたことから、後宮に仕える宦官にはあってはならない「ある秘密」に気づいてしまうのだ。その直後、2人の距離が急接近する場面も描かれており、思わずドキッとさせられた。

 王道の恋愛物語なら、イケメンからのアプローチにヒロインは胸をときめかせ、そこから一気に距離が縮まっていくはずだ。しかし、猫猫と壬氏はそう簡単にはいかない。

 壬氏がどれだけ想いを寄せても、猫猫は相変わらずの“塩対応”を貫く。それでも、互いを少しずつ意識し合っていく……。この一筋縄ではいかないもどかしい関係性だからこそ、「次は一体どうなるのか」と目が離せなくなるのである。

 

 可愛らしい見た目とは裏腹に、毒や薬を前にすれば強烈な探究心を見せ、事件が起きれば持ち前の知識と観察力で真相に迫る猫猫。その一方で、目の前で苦しむ人のために、とことん手を尽くし、壬氏のような完璧な美男子にも簡単にはなびかない。

 そんな予測不能な言動の数々が、猫猫を「ただのヒロイン」の枠におさまらない、唯一無二の魅力的なキャラクターにしているのだろう。

 2028年に放送予定の実写ドラマでは、この猫猫を芦田愛菜さんが演じる。小説、漫画、アニメで多くのファンを魅了してきた猫猫を、実写作品でどのように表現してくれるのか。芦田さんが演じる、新たな猫猫の姿に期待は高まるばかりだ。

 

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