■銭湯に宇宙の王子が居候!?『一番湯のカナタ』
続いては、『GS美神 極楽大作戦!!』『絶対可憐チルドレン』などを手がけた椎名高志さんの『一番湯のカナタ』だ。『GS美神』で人気を集めた後、2002年の『週刊少年サンデー』21・22合併号から連載がスタートしたSFコメディーである。
物語の舞台となるのは、高校生の涼が1人で切り盛りする銭湯「星乃湯」。そこへ地球に亡命してきた王子・カナタと、その姉のユウリ、従者のタコじいが現れ、涼は異星人たちとの共同生活を送ることになる。
身近な銭湯を舞台にしながら、物語は日常の騒動だけにとどまらない。涼はカナタたちとともに宇宙海賊「ブラッド・ビット」と対決するなど、バトル展開も描かれる。カナタの武器が本来の力を発揮できない状況で、涼は自ら1対1の勝負に挑むなど、人間の高校生でありながら異星人との戦いにも加わっていく。
一方ブラッドは、宇宙船「セイリュート」に惚れてしまうという、変わった恋愛模様も描かれる。彼女に気に入られようと自作のプログラムを贈るという、海賊と宇宙船のやりとりを恋愛として描く発想も、本作らしい面白さだ。
『GS美神』を彷彿させる描写もあり、椎名さんのファンから長期連載を期待する声もあったが、連載は全29話で終了。椎名さんは自身のブログ「完成原稿速報・ブログ版」にて、「打ち切りは『一番湯のカナタ』だけ!」と明かしている。
ただ、その記事内で本作で学んだことが『絶対可憐チルドレン』につながったとも記している。短期終了した作品だが、椎名さんにとって大きな転機となる作品だったようだ。
■ケンカ自慢の高校生もかなわないサイボーグ少女『R・PRINCESS ―ロケットプリンセス―』
最後は、『烈火の炎』『MÄR』などで知られる安西信行さんの『R・PRINCESS ―ロケットプリンセス―』。『週刊少年サンデー』1994年23号から始まった、安西さん初の本格連載作品である。
物語は、ケンカが取り柄の高校生・石橋甘悟の家の隣に、少女・大空小姫が引っ越してくるところから始まる。背中には小さなロケットを背負い、人間離れした腕力を持つ彼女の正体はサイボーグで、甘悟は小姫が起こす騒動に巻き込まれていく。
その後、小姫とその父親はひょんなことから甘悟の家に居候することになり、ケンカ自慢の甘悟は幾度となく小姫に対戦を申し込むが、サイボーグの小姫には歯が立たない。
一方、何度もケンカを吹っかけてくる甘悟を見て、自分が邪魔なのだと泣き出してしまう小姫だったが、自身の姉に諭された甘悟はその後、彼女を守ろうと決意。こうした2人の関係性の変化も魅力の作品だった。
連載は1995年1号で終了し、コミックは全3巻となった。小学館の『少年サンデー』公式サイトにて安西さんは、1話完結型の漫画で毎回新しい話を考えることに苦しんだことや、最終的に打ち切りとなったことを明かしている。
なお、物語後半には小姫の体に異変が起こり、父親にも手の施しようがない命の危機に直面する話もあった。ドタバタ劇から生死に関わるシリアスな展開まで、短いながらも読み応え抜群の学園SF作品である。
連載期間こそ短かったものの、それぞれ異なる魅力で読者を魅了した作品の数々。有名作品を機にファンになった人も、ぜひ押さえておきたい作品たちだ。
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