■千束と正反対のライバルキャラクター「春川フキ」
最後に紹介するのは、DAのファーストリコリスとして活躍する春川フキ。小柄な体格と高い俊敏性を活かして戦う彼女は、実は『リコリス・リコイル』の初期プロットでは、主人公になる予定だったという意外な設定を持つ。
口は悪いがまじめで責任感が強く、上からの命令に忠実な性格のフキ。たきなが仲間の命を救うために命令違反したときに激怒するなど、組織のルールを重んじる姿勢が際立っていた。
「命大事に」が信条で自分のやりたいことを貫く、ファーストリコリスの千束とは真逆の存在であり、ライバル心もあってか当初は対立してばかりだった。そんなフキも慕っているかつての教官・ミカの前では、年相応の乙女らしい表情を見せる。
フキがやけに千束に敵対心を燃やすのも、憧れるミカが千束とともにDAを去ったことも大きな要因だろう。しかし、物語が進むにつれてフキ自身や千束との関係にも変化が生じていく。
第13話では延空木からの退避命令が出されるなか、上階に真島とともに残された千束の安否を心配し、たきなを加勢に行かせる決断を下した。かつてたきなの命令違反に厳しい態度をとったフキ自身が、命令を守ることよりも千束を助けることを優先したのである。
最初は正反対に思えた2人が、互いを理解していく過程が胸を打つ。厳しくも仲間思いなフキは、千束やたきなと衝突しながら一緒に成長していく頼れるライバルといえるだろう。
『リコリス・リコイル』には人間味あふれるキャラクターが数多く登場するが、演じる声優たちによるアドリブ演技の多さも大きな魅力。そして千束とたきなが心を通い合わせる瞬間や、2人の特別な関係性に尊さを感じるのも、彼女らを支える仲間たちの存在が物語に厚みを与えているからだろう。


