■続編的な作品『MIX』では達也が甲子園で投げる映像が登場
『タッチ』の続編的な作品として現在『ゲッサン』(小学館)で連載されているのが『MIX』である。本作は、達也たちの世代が甲子園を制覇してから26年後の明青学園が舞台だ。すっかり低迷した明青野球部に立花投馬・走一郎の兄弟バッテリーが入部し、かつての栄光を取り戻すべく奮闘する姿が描かれている。
『タッチ』と地続きの世界観のため、達也の再登場を期待したくなるのがファンの気持ちだろう。そして、そんな期待に応えるかのように、第59話「似てると思わないか?」にて、ついに達也の甲子園でのピッチングが描かれたのである。
自宅で暇を持て余していた主人公・立花投馬は、「明青学園優勝決定試合」と書かれた1本のビデオテープを偶然発見する。それは彼が幼い頃から何度も見ていたものであり、そこには背番号「1」を背負って甲子園のマウンドで力投する、上杉達也の姿がおさめられていた。
作中での描写は決して多くない。しかし、彼の代名詞であるストレートは「ここから——伸びるんです!」と実況に称えられ、バッターを空振りさせる。ほんのわずかなシーンだが、達也が甲子園で投げる姿が見られただけで感無量だ。
また、投馬の父親によると、子どもの頃からビデオを繰り返し見ていたせいか、「投馬のピッチングは達也と何となく似ている」という。あの達也が、約30年後の後輩に影響を与えたのだと思うと、非常に感慨深い。『MIX』未読の『タッチ』ファンには、ぜひとも読んでみてほしいエピソードだ。
最後に補足すると、今回紹介したアニメオリジナル2作品は、あくまでアニメ独自のエピソードであり、原作漫画と切り分けて考えるファンも少なくない。達也の物語は、漫画『タッチ』最終話で幕を閉じており、その後の展開は読者それぞれの想像に委ねられている……と捉えるのもまた、作品の楽しみ方のひとつだろう。
きれいにハッピーエンドを迎え、長い年月が経った今でも「その後」を考えずにはいられない上杉達也という存在。ファンにとって、永遠のスターであることは間違いないだろう。


