井上雄彦氏による不朽の名作『SLAM DUNK』。その物語は、インターハイで絶対王者・山王工業高校との激闘を制した湘北高校が、続く試合でまさかの大敗を喫したところで幕を閉じた。
しかし高校バスケットボールには、もう一つ重要な全国大会が待っている。それは夏のインターハイから約4か月後の12月に行われる「冬の選抜」こと「全国高等学校バスケットボール選抜優勝大会」(現称:全国高等学校バスケットボール選手権大会)だ。
もし作中でこの冬の選抜が描かれていたら、全国への切符をつかんでいたのはどこだったのだろうか。インターハイでは湘北と海南大附属高校の2校が神奈川県から全国に進んだが、冬の選抜で神奈川県に与えられた枠はわずか1校のみ。夏以上に厳しい代表争いが繰り広げられることは間違いない。
今回は、作中では描かれなかった「冬の神奈川」の行方を考えてみたい。
※本記事には作品の内容を含みます。
■桜木の復帰が鍵…赤木を失った湘北の冬
まず押さえておかなければならないのが、3年生の去就である。
漫画の最終話や後日談『あれから10日後ー』でも描かれているように、湘北では主将・赤木剛憲と木暮公延が大学受験のために引退。一方、学力では絶望的な三井寿は、バスケでの推薦入学に望みをかけてチームに残っている。
そして湘北最大の気がかりは、やはりゴール下の支配力にある。赤木が抜けたことで、湘北はゴール下の絶対的な支柱を失った。彼の存在は得点やリバウンドだけでなく、チームの精神的支柱であり、相手に恐怖を与えるディフェンスの要でもあった。この穴を埋めるのは、かなり困難だろう。
さらに山王戦の終盤で背中を負傷してリハビリ生活を送っている桜木花道も、冬の選抜までに実戦復帰できるかはまったくの不透明だ。
桜木が万全でなければ、「リバウンド力に裏付けられた思い切りの良い攻撃」という、夏の湘北が生み出した驚異の好循環が崩れてしまう。
もともと選手層の薄い湘北だけに、赤木と桜木の穴を埋められるだけの選手がいるのか。その課題が冬の選抜で露呈する可能性は高いだろう。
■牧は冬まで残るのか? 王者・海南の分岐点
夏のインターハイで全国準優勝を果たした海南。その中心にいたのが、絶対的司令塔の牧紳一だ。しかし、牧の冬の選抜への参加については、作中はもちろん、その後に発表された資料でも明かされていない。
湘北の赤木や木暮のように、高校バスケでは3年生がインターハイで引退するケースがある一方、冬の選抜まで現役を続ける選手も少なくない。特に海南のような大学附属校で全国屈指の強豪校であれば、3年生の主力が最後のタイトルを目指して残ることは現実の高校バスケでも見られる。そう考えると牧、さらには高砂一馬らも冬まで残ると考えるのが自然だろう。
仮に牧たちが引退したとしても、名将・高頭力監督の手腕は見逃せない。インターハイ神奈川県予選で得点王に輝いた神宗一郎と、ポテンシャル抜群の1年生・清田信長を新たな軸に、厳しい練習を乗り越えた層の厚い控えメンバーを組み込み、常勝・海南はすぐさま“勝てるチーム”を作り上げるはずだ。
牧が残れば、冬の全国大会でも優勝候補。仮に抜けたとしても、海南が神奈川で代表争いの筆頭であることは間違いないだろう。


