■『黒ノ十三』淡々と進むから余計怖い…後味の悪すぎる奈落の結末
1996年9月にトンキンハウスから発売されたのが、『黒ノ十三』だ。サウンドノベル型のアドベンチャーゲームで、全部で13本のシナリオが収録されている。しかも、そのほとんどが後味の悪い結末ばかりで、容赦なくプレイヤーを憂鬱な気分へと突き落とした。
13本のシナリオの中でも、特に強烈なインパクトがあったのが「ラミア」と「羽音」の2本。
「ラミア」は、ゲームセンターにある「ラミア」というゲーム機で願い事をすると女神がかなえてくれるという噂話から始まる。主人公の少女が入院中の母親の病気を治してほしいと願うと、その願いがかなったことを知らせる紙がゲーム機から排出される。
看護師から母親が退院したと聞いて急いで自宅へ戻ると、少女の好きなクリームシチューの香りが。笑顔でキッチンへと向かった少女の目に飛び込んできたのは、胸に包丁が突き刺さって絶命している母親の姿だった……。
さらに恐ろしいのは、次に母親を生き返らせようと願った結末だ。願いは思わぬ形でかなえられ、なんと母親は死体のまま起き上がってくる。CGグラフィックで描かれた虚ろな母親の表情はまさに死人そのもの。心臓に悪いだけでなく、なんとも後味が悪い展開が印象的だ。
そして、極めつけは「羽音」だ。このシナリオは恐怖というよりも生理的な嫌悪感が極めて強く、詳細を語るのがはばかられるほどの内容である。
陰湿ないじめを受ける少女が、加害者に害虫を食べさせられるという凄惨な展開は、多くのプレイヤーに強烈なトラウマを植えつけた。単なる恐怖だけでなく、胸が締め付けられるような苦しさと、おぞましさが入り交じった印象的なエピソードだった。
PS1の時代には、進化したグラフィックや独自の演出によって、今もなお語り継がれるホラーゲームが数多く生み出された。
残暑が厳しいこの季節。背筋を凍らせたい時にこそ、これらの隠れた名作ホラーをあらためてプレイし、当時のプレイヤーを顔面蒼白にさせた恐怖体験を味わってみるのはいかがだろうか。


