■壮大に広がる本格SF美少女メカアクション『ガルフォース』
劇場公開もされた『ガルフォース ETERNAL STORY』(1986年)は、OVA黎明期を代表する本格SFメカアクション。小説家や漫画原作など、さまざまな肩書きを持つ柿沼秀樹氏が、模型雑誌『モデルグラフィックス』(大日本絵画)で連載していたジオラマと挿絵(キャラクター原案:園田健一氏)による“3Dフォトストーリー"『スターフロント・ガルフォース』がベースとなっている。
ソニーグループのSVIが初めて手がけたアニメ作品であり、アニメーション製作はムービック、アートミック、A.I.C.が担当。キャラクターデザインはもちろん園田健一氏、そして監督を務めた秋山勝仁氏は、のちにアニメ『イナズマイレブン』シリーズなどを手がけた人物だ。
作品の舞台となったのは、液状生命体パラノイドと単一生殖の人間型ソルノイドが激しい戦いを繰り広げている広大な宇宙。被弾して艦隊から離脱したソルノイド軍の巡航艦スターリーフは、生存した7人の女性クルーを乗せて新天地カオスを目指す。しかしパラノイドの追跡を受け、次々と仲間が倒されていく中、生き残ったクルーたちはカオスでの戦いが驚くべき実験であると知る……というストーリーである。
本作の最大の魅力は、やはり園田氏が手がけた魅力的な美少女キャラの存在と、生き残りをかけたハードすぎる展開だ。
劇中では主人公・ラビィをはじめ、7人のクルー全員が10代の“美少女”。彼女たちソルノイドは「女性だけの軍隊」であり、対するパラノイドは「男性の機能(遺伝子)」を持つ液状生命体。実はこの設定こそが、物語における最大の核心なのである。
80年代の「バブル景気」のさなかに生まれた作品群だけに、当時最高峰の作画技術が惜しみなく注ぎ込まれている。手描きのセル画アニメながらも戦闘服の質感から爆破シーンに至るまで緻密に描かれ、その映像は現代のデジタルアニメに引けを取らないどころか、それを上回るほどの圧倒的な質感と迫力が感じられた。
それは現存するセル画を見ても一目瞭然で、キャラのわずかな表情の差異にも高品質な絵を何枚も使用していたことに驚かされる。
巡航艦に乗り合わせた個性的な美少女たちはとても魅力にあふれていた。時に手を組み、時には反発しながら過酷な運命に抗おうとする群像劇は非常にドラマチックだった。
そんな彼女たちを演じたのが、松井菜桜子さん、川村万梨阿さん、鶴ひろみさんといった当時の若手実力派声優である。
本作は80年代後半の第二次声優ブームを先取りし、今では当たり前となった声優ユニットを結成するなど、のちの「アイドル声優時代」の土台を築いた。さらに、小比類巻かほるさんの歌うエンディングテーマ『両手いっぱいのジョニー』も物語の哀愁を見事に引き立てている。
この『ガルフォース ETERNAL STORY』の大ヒットを受け、その後「宇宙章」や「地球章」など、いくつものOVAシリーズが展開。1987年には、ほぼ同スタッフで別作OVA『バブルガムクライシス』が製作され、こちらも人気シリーズとなった。
同時期にアートミックやA.I.C.が手がけた『戦え!!イクサー1』などとともに、「美少女×メカ・特撮」というOVA独自の巨大なトレンドをけん引したのである。


