【ネタバレあり】Netflix『地獄に堕ちるわよ』で知る「魔性の怪物」細木数子の底知れぬ魅力 最終話のセリフに鳥肌…の画像
Netflix『地獄に堕ちるわよ』メインビジュアル

 『地獄に堕ちるわよ』(Netflix)を全話見て、まず思った。やっぱり、戸田恵梨香はすごい。“あの”細木数子を戸田が演じると発表されたとき、多くの人は「え、無理じゃね?」と思ったはずだ。

 だって、そもそもビジュアルの系統が違う。細木数子が、丸顔で存在感の強い顔立ちだとしたら、戸田はたまご顔の涼しげ美人。これは、映像作品ではよくあることではあるものの、37歳の戸田が67歳の細木数子を演じるのも、かなりむちゃなキャスティングに思えた(本作で、戸田は17歳から67歳までを演じている)。

 だが、その不安は第1話を見た時点で吹き飛んだ。

 戸田演じる細木数子がエレベーターに乗り込み、サングラスを取った瞬間「あっ、細木数子だ」と、ゾクッとした。戸田は、ただ外見を似せるのではなく、細木数子特有の圧や、人を見透かすような視線、そして「この人には逆らえない」と思わせる空気感そのものを完璧に体現していたのだ。

 その結果、終盤に近づくにつれ「えっ、細木数子にしか見えないんだが……?」と思うようになっていき、“戸田恵梨香が演じている”という意識すら消えたのは、わたしだけではないだろう。これはもう、モノマネではない。完全に、細木数子が憑依していた。……やっぱり、戸田恵梨香はすごい。

 (※以下、『地獄に堕ちるわよ』のネタバレを含みます)

■細木数子が占い師になるきっかけとなった“ある”出来事

 占い師を名乗るのに、資格はいらない。知識がなくても「占いをしま〜す!」と言ってお金をもらえたら、その瞬間から占い師になれてしまう。

 しかし、占いは、ときに人の人生を大きく左右することがある。「今年は、運気が悪い」と言われれば、新たな挑戦を諦める人もいるだろう。「あなたたちは別れたほうがいい」と言われたことで、恋人と距離を置く人だっているかもしれない。

 細木数子の先輩占い師・聖瀰玲(中村優子)が「付け焼き刃で人を占っちゃ絶対にダメよ。占いは、人の運命を変えてしまうの」とクギを刺したように、占いには人生の舵を委ねてしまいたくなる魔力が宿っているのだ。

 全9話のなかで、最も印象に残ったのが、細木数子が占い師になることを決めた第8話のシーン。

 ある日、心を打ち砕かれるような裏切りを経験した細木数子は、滞在していた旅館で、理津子(土村芳)が恋人と別れ話をしている場面を偶然目にした。

 その後、ふたたびバーで、ヤケ酒をあおろうとしていた理津子を見かけた細木は「よしたほうがいいわ。男に振られた腹いせでしょうけど。ごめんなさいね。さっき、旅館で目に入っちゃったのよ。余計なお世話でしょうけど、傷ついたときにはまず、自分をいちばん大事にしなきゃ」と声をかける。ここに、彼女らしさが詰まっているような気がした。

 やっぱり、細木数子という人間は、間違った方向に進もうとしている人間を放っておけないタイプなのだと思う。相手の心にズケズケ踏み込んでいくし、言葉も強い。だが、その根っこには不器用な優しさがある。彼女が占い師になった原点にも、他人を正しい道に導きたいという想いがあった。

 それから細木は、親友の旦那を寝とってしまい、罪悪感に苛まれている理津子に、的確なアドバイスを送る。すると、理津子は「お姉さんは、占い師か何かなんですか?」と尋ねるのだ。この何気ない一言が、細木数子の人生を変える、大きな転機となる。

 「そう、実はわたし占い師なの」とニヤリ。

 そして、「今、結ばれた相手とは必ず不幸な結果になる」「もしかしたら、お相手の彼は自殺するかもしれない。それか自殺するのは、彼の奥さんかもしれない。自殺の“殺”は天中殺の“殺”。その“殺”が、あなたに跳ね返ってこないとも限らない」「3人が食い合ってボロボロになる前に別れたほうがいいわ」と、まだ占いを習得する前のいい加減な知識ではあるものの、理津子を本当の幸せに誘うための助言をする。

 これで味を占めた細木数子は、占い師を目指し始めるのであった。

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