■「あんた地獄に堕ちるわよ」序盤から名セリフ満載!

 第1話の冒頭、『ズバッと言うわよ!』(『ズバリ言うわよ!』のパロディだと思う)にゲスト出演したうおのめ舞(ヒコロヒー)に、「あんた、このままじゃ自殺するわよ」と提言する場面がある。「うわっ、そこまで言う? 血も涙もないなぁ!」と思ったのは、わたしだけではないだろう。

 たしかに、うおのめ舞は「どうしても20代のうちに結婚したいんですよねぇ。(中略)女の商品価値は30過ぎたら激落するじゃないですか」と、かなり危うい価値観を持っていた。にしても、言っていいことと悪いことがある。

 細木数子は、その収録が終わったあと、「ああいうのがウケるのよ。いまの世の中、どん詰まりでしょ? (中略)だから、わたしみたいにズケズケ言う女を求めているのよ」とほくそ笑んでいたものだから、「この人は、富と名声を得るために“人の心”を捨てたのだな」と思った。

 しかし、本作はそのあとに若かりし細木数子が、信じていた男性に騙されたショックで自殺未遂を図る場面を描き出す。そして、自身の自伝を執筆している作家・魚澄美乃里(伊藤沙莉)に、「あの女芸人は、あのまま行けば昔のわたしみたいになる。だから、忠告してやったの。いまなら、まだ間に合うからね」と語るのだった。

 この瞬間、それまで“怪物”のように見えていた細木数子の輪郭が、180度変わった。ズケズケとした物言いも、突き放すような態度も、もしかしたら彼女なりの“救済”の仕方だったのかもしれない──そんなふうに思わされてしまったのである。

 「バカ女。あんた、本当バカだよ」
 「あんたね、ずっと男に依存して生きていくつもりかい?」
 「自分を磨く努力をしない女はね、ロクでもない男に騙されて、ボロボロになるだけだよ」

 こんなに厳しいことを言われて、いやな気持ちにならない人はいないだろう。芸能界というのは、好感度が重要視される世界だ。ニコニコして口触りのいいことを言っていたほうが、人気が長続きする可能性もある。それに、人に嫌われるのって、怖い。それなのに……と考えると、細木数子は実はとてつもなく自己犠牲の強い人なんじゃないか? と思えてくる。

 もちろん、「そこまで言う必要はないのでは?」と思う部分は多々ある。

 だが、第1話を見終えたあと、わたしのなかで細木数子は“ただの怖い人”ではなくなった。富と名声を得たい。できれば、人を救いたい。でも、優しい言葉で誰かを変えることはできない。そんな不器用さを抱えたまま、“怪物”になっていった女性。だからこそ、わたしたちはいまも、細木数子という存在を忘れられないのだ。

 

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